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窮地に立たされる英アストラゼネカ・ワクチンの秘策 日本国内でも9千万回分生産 - Newsweekjapan

窮地に立たされる英アストラゼネカ・ワクチンの秘策 日本国内でも9千万回分生産

アストラゼネカ・ワクチンを準備するイギリスの消防士(2月4日)   Peter Cziborra-REUTERS

<マクロン仏大統領には「65歳以上にはほとんど効果がない」と切り捨てられ、南アフリカでは急遽接種が中止されたワクチンの問題とは>

[ロンドン発]英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが共同で開発・製造する新型コロナウイルスのワクチンが厳しい逆風にさらされている。欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)が18歳以上への緊急使用を承認したにもかかわらず、ドイツやフランスなどEU加盟国が次々と65歳以上への接種を見送った。アメリカは承認すらしていない。

さらに免疫を回避する南アフリカ変異株への有効性が22%に低下することも分かり、南アはアストラゼネカ・ワクチンの接種を中止した。ワクチン開発を指揮するオックスフォード大学ジェンナー研究所のセーラ・ギルバート教授は7日、英BBC放送で「秋までには南ア変異株に効くワクチンを準備できる」と語り、秋に3度目の接種を行う秘策をにおわせたのだが......。

イギリスではワクチン接種が同日時点で1200万人を超え、2月15日までに70歳以上と基礎疾患を持つハイリスクグループ、介護施設職員、医療従事者らへの1回目接種を終える目標に着々と近づいている。これに対してドイツやフランスなどEU加盟国は完全に出遅れた。EUがワクチンの青田買いに失敗したからだ。これにアストラゼネカの納期遅れが加わり、EU加盟国を激怒させてしまった。

エマニュエル・マクロン仏大統領は1月29日、EMAがアストラゼネカ・ワクチンの18歳以上への使用を推奨する数時間前、「現時点で65歳以上にはほとんど効果がない。初期の結果は60~65歳を勇気付けていない」と切り捨てた。独ロベルト・コッホ研究所予防接種常任委員会も65歳未満にのみ接種すべきだと勧告した。

アストラゼネカのワクチンについて65歳未満に限って推奨としたのはフランス、ドイツのほか、オーストリア、スウェーデン、ノルウェー(EU非加盟)、デンマーク、オランダ、スペイン、ポーランド。55歳未満のみ推奨としたのはイタリアとベルギー。スイス(EU非加盟)は承認しなかった(BBCまとめ)。

アストラゼネカ・ワクチンの3つの問題点とは

筆者の見るところ、アストラゼネカのワクチンが抱える問題は3つある。

(1)第3相試験の結果が不十分
(2)大量生産に問題が生じた
(3)免疫を回避する「E484K」の変異を起こした南ア変異株への有効性が低い

オックスフォード大学やアストラゼネカは昨年11月、イギリス、ブラジルの18歳以上2万3千人超(うち発症者131人)が参加した第3相試験の中間結果を発表。1回目の摂取量を半分にして1カ月後に全用量の2回目を接種したグループ(被験者2741人)では90%の有効性を、2回とも全用量を接種したグループ(同8895人)では62%の有効性を示した。平均すると70.4%だった。

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