ミャンマー国軍が1日、アウンサンスーチー国家顧問らを拘束し、「軍が国家の権力を掌握した」と宣言した。軍は、スーチー氏が率いる与党・国民民主連盟(NLD)が圧勝した昨年11月の総選挙に不正があったと主張しており、事実上のクーデターとみられている。民主化が進んでいたミャンマーで、軍が突然行動を起こした背景には何があるのか。上智大学の根本敬教授(ミャンマー近現代史)に聞いた。
――今回のクーデターをどうみていますか。
1月下旬に軍は「憲法を守る」と強調し、クーデターのうわさを否定していたので、今回の動きは想定外だった。軍は大統領を拘束し、軍出身の副大統領に権限が委譲されたとみなして非常事態宣言を出させた。非常事態時に軍が権力を掌握できるとする憲法の規定を悪用した形だ。軍がどう主張しようともクーデターであることに間違いなく、軍は今後、説明を求められることになる。
――「憲法を守る」という主張は、今回の動きの伏線だったということですか。
そういうことだろう。実際に憲法の規定を守って、軍が権力を握る結果になった。国会が召集される予定だった2月1日の未明に、軍は重要な人物をすべて拘束した。拘束された人の中には作家や文化人が含まれているという情報もある。今後の反対運動も意識して、政治家だけでなく、発信力のある知識人らを前もって拘束した可能性がある。
――クーデターの理由としては何が考えられますか。
軍が何に対して不満だったのかが見えてこない。現行憲法は軍政下で15年をかけて作ったもので、軍にとっては使い勝手のよいものだ。軍は選挙に不正があったと主張しているが、票を数え直しても国軍系の最大野党・連邦団結発展党(USDP)が議席を大幅に伸ばす可能性はないし、選挙をやり直してもNLDが圧勝するだけだ。テインセイン前政権のように軍出身者がトップに座る時代に戻したかったのかもしれないが、経済が未熟な中では国民の怒りが政治に向かうだけだ。軍がどう説明するのかに注目している。
――今後はどういう動きが予想されますか。
憲法上、非常事態は1年間とされており、スーチー氏は自宅軟禁、あるいはそれに準じる措置を受けるだろう。NLDを支持する市民がどこまで反発を強めるかを見ていかなくてはいけない。軍があいまいな説明で強弁した場合、大規模なデモや集会に発展する可能性がある。
――国際関係にはどのような影…
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