ナワリヌイ氏の健康「危機的」陣営が21日に大規模抗議びかけ - 毎日新聞 - 毎日新聞

ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏＝モスクワの裁判所で2021年2月20日、AP

　刑務所でハンガーストライキを続けるロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏の健康が危機的な状態にあるとして、ナワリヌイ陣営は18日、同氏への連帯を訴え全国の主要都市で21日に大規模な抗議活動を展開するよう呼びかけた。21日にはプーチン大統領の年次報告演説が予定されている。当局は抗議活動に強硬姿勢で臨むとみられ、再び緊張が高まりそうだ。

　1月に療養先のドイツから帰国した後に逮捕、収監されたナワリヌイ氏は3月31日、背中の痛みなどが悪化しているのに十分な治療を受けられないとしてハンガーストライキに入ると宣言し、専門医による治療を求めている。

　ナワリヌイ氏の主治医らは17日、血液検査の結果から「血中カリウムの濃度が高く腎不全の疑いがあり、心停止の恐れもある」と訴えた。一方、刑務当局はナワリヌイ氏に「適切な治療を施している」としている。

　ナワリヌイ陣営は3月下旬、インターネット上で50万人以上の参加表明があれば、2月以降中断していた抗議活動を再開すると表明。賛同者は4月18日現在でまだ約46万人だが、ナワリヌイ氏の容体が悪化したため、急きょ21日に再開すると表明した。陣営は「ナワリヌイ氏の命とロシアの運命はどれだけの市民が参加するかにかかっている」としている。

　ロシア当局は1月にロシア全土でナワリヌイ氏の釈放を求める抗議活動が起こった際、延べ1万人以上を一時拘束し、その後もナワリヌイ陣営関係者の拘束を続けるなど圧力を強めている。

　4月16日には検察当局が「立憲体制転覆の条件を作り出そうとしている」として、ナワリヌイ陣営や関係団体を「過激派組織」に指定するよう裁判所に要請。これが認められれば、陣営の活動は非合法化され、活動した関係者は最長で懲役10年の罪に問われる可能性がある。

　陣営幹部は18日、動画投稿サイトを通じ「もし我々が今、沈黙すれば、ロシアで平和的な政治活動をすることは不可能になる」と訴え「この国が闇に沈むのを防ぐ最後のチャンスだ」と、抗議活動への参加を呼びかけた。【前谷宏】

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