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【主張】アフガン米軍削減 自分第一の無謀な決定だ - 産経ニュース

 トランプ米政権が、アフガニスタンとイラクの駐留米軍の削減を発表した。任期切れ直前の来年1月15日までに完了する。ソマリア駐留部隊もほぼ完全な撤収を検討しているとされる。

 ただ、現地の治安がここにきて劇的に改善したわけではない。「果てしない戦争を終わらせる」というトランプ氏の公約を駆け込み的に実行している印象が否めず、安全保障上極めて危うい。

 アフガンの米軍は4500人から削減後2500人となる。トランプ氏はイラクの部隊も含め、来年5月までの全員の撤収を望んでいるという。

 アフガンでは、イスラム原理主義勢力タリバンが自爆テロなどで勢力を盛り返し、支配地を拡大させている。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の浸透も懸念される。

 駐留米軍はアフガン政府にとって、タリバンとの交渉や、治安維持において、大きな後ろ盾であり、欠かせない存在だ。

 今年2月の米国とタリバンの和平合意を受け、9月にアフガン政府とタリバンの和平交渉が始まったが難航し、両者の衝突はむしろ激化した。タリバンの和平への本気度も疑問視され、米軍縮小を進める局面とはとても思えない。

 米軍のアフガンでの軍事行動は、2001年の米中枢同時テロを契機に始まった。駐留継続は治安を回復し、アフガンを再び「テロの温床」としないためだ。

 米国内では「史上最長の戦争」と呼ばれ、米兵全員の帰還は、誰もが願っている。「戦争」を終結させ、撤収を目指すのは当然だが、政権交代期に強行に進めるのはあまりに無謀である。

 アフガンが無秩序な状態に戻れば、そこにテロリストが巣くい、米国だけでなく、世界にとって大きな脅威となる。

 米政権の交代期には、次の政権が政策上の選択肢を確保できるよう、外交、安全保障上の重要決定をなるべく控えるのが慣例だ。とりわけ、米世論の動向を考慮すれば、いったん削減した部隊を元に戻そうとしても困難を伴う。

 ポンペオ氏による米国務長官として初のイスラエル占領地ゴラン高原とヨルダン川西岸の入植地訪問も、イスラエル寄りのトランプ政権が駆け込み的に実行した色合いが濃い。幕引き寸前の自分第一の行動は大きな迷惑である。

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