米大統領選の結果が11月13日に全州で判明し、ジョー・バイデン前副大統領の勝利が確実となった。
トランプ、バイデン両陣営が激戦州と位置づけ、投票日直前まで精力的に遊説を続けたのがミシガン州だった。この州は2012年の選挙ではオバマ大統領が勝利したが、前回の16年はトランプ大統領がわずか0.2ポイント、約1万票という最小僅差で勝った。
そんなミシガン州で私が1000人以上の支持者に囲まれてトランプの演説を聞いたのは、10月中旬のこと。彼は冒頭でこう話した。
「オレは12年前、ミシガンで最も活躍した人物に選ばれた時、『なぜミシガンは自動車産業の仕事口を、賃金の安いメキシコやカナダに流出させているんだ』と言った。賞を貰って文句を言ったのはオレぐらいだろ」
負けを認めないトランプ氏 ©共同通信社
聴衆が沸き、こう続けた。
「(大統領就任後)安倍首相に『日本はもっとミシガンに自動車工場を作らないといけない』って言ったんだ。その翌日、日本の自動車企業がミシガン州で5つの工場を建てると発表した」
だが、トランプがその年最も活躍した人に選ばれたことも、日本企業がミシガンに5工場を建てるというのも真っ赤な嘘だった。
トランプは90分話し続け、支持者は押し合いへし合いの中で、その話に酔っていた。マスクをしている人は全体の2割程度か。
トランプ陣営から送られてくるメールの根拠なき言いがかり
トランプ陣営とバイデン陣営はコロナ対策でもくっきりと分かれていた。
10月3日、私はバイデンの演説場所に向かった。だが、事前登録しコロナの検査を受けた記者以外は立入禁止。支持者でも演説は聞けなかったのだ。
選挙の結果、バイデンはトランプに15万票近い得票差でミシガンを獲得した。
選挙後、トランプ陣営のサイトで登録した私のもとには連日、トランプや彼の家族からメールが届く。「民主党が選挙を盗もうとしている」「ミシガンを防衛しよう」「不正選挙と戦うために資金が必要」などと訴訟支援の献金を訴えている。トランプは「(民主党員が市長の)デトロイトやフィラデルフィアは最も汚職塗れの都市」とメールで書いていたが、これは根拠のない言いがかりなのだ。
トランプはミシガンで不正選挙が行われたとして3件の訴訟を起こしたが、すでに2件が裁判所によって棄却された。しかし、トランプ支持者たちは銃やライフルを持って州議事堂前に集まり、選挙に不正があったと抗議している。
次回の大統領選挙に再び立候補を検討しているというトランプにとって、鉾の収め時をどう見つけるのかが喫緊の課題だ。
(横田 増生/週刊文春 2020年11月26日号)
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