【シンガポール=森浩】クーデターが起きたミャンマー(旧ビルマ)では1948年の独立以来、国軍が軍事政権などを通じて国政に影響を及ぼす構造が続いた。軍政下で国内経済が落ち込んだ時期もあったが、関係が深い中国の支えで、国軍はミャンマーに君臨し続けてきた。
ミャンマーが旧宗主国の英国から独立した48年、指導的な役割を果たしたのは、今回、国軍に自宅軟禁されたアウン・サン・スー・チー国家顧問の父、アウン・サン将軍だった。
ただ、独立直後から、国内では共産主義勢力や自治権拡大を求める少数民族勢力との戦闘が続いた。中国の国共内戦を経て敗北した国民党軍残党が国内になだれ込んだことも政府の悩みの種だった。武力闘争が続く過程で、発言力を高めていったのが国軍だ。
建国期に国を守った自負に加え、政界の混乱が続いたことで、国軍は政治関与を深めていった。62年には国軍のネ・ウィン将軍がクーデターで権力を掌握し、軍事政権を樹立。89年には民主化運動の高まりを受けて、指導者のスー・チー氏を軟禁した。国軍支配は形を変えながら国民民主連盟(NLD)による文民政権成立(2016年)まで続くことになる。
軍政初期のミャンマーではネ・ウィン政権が外国資本を排除して国家が経済を統制する「ビルマ式社会主義」を推進し、その結果、国内経済は東南アジアでも最低水準にまで落ち込んだ。スー・チー氏軟禁以降、欧米諸国が相次いで制裁を強化したことも国内に打撃を与えた。
それでも中国は国軍を支えた。ミャンマー国内の豊富な天然資源を求めたことに加え、同国経由で陸上からインド洋進出を狙う戦略的思惑があったためだ。
国軍と中国の良好な関係は続き、今年1月にミャンマーを訪問した王毅国務委員兼外相はスー・チー氏のほか今回のクーデターで実権を握ったミン・アウン・フライン総司令官とも会談。総司令官はその場で昨年11月の総選挙への不満を述べたとされる。国軍側が、中国によりクーデターを黙認されたと解釈し、行動に出たとの見方もある。
地元ジャーナリスト、チット・ミン・マウン氏は「中国以外にロシアもかつての軍政を支持した。国民は決して軍政支持ではないが、支える国がある限り、国軍支配は続いていくだろう」と話している。
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