北角裕樹(ジャーナリスト/ヤンゴン在住)
2021年2月1日、ミャンマー国軍はアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相ら政権幹部を拘束し、非常事態を宣言、国政の全権を握った。この日は与党の国民民主連盟(NLD)が圧勝した昨年11月の選挙結果に基づく、新しい国会の開会予定日だった。突然のクーデターに対し、最大都市ヤンゴンの市民は大きなショックを受け、多くの人が抗議の意味を込めて手近にある金物を打ち鳴らした。その一方、街では自分たちの生活を守るべく、平静さを保とうとしている市民の姿もある。混迷するミャンマー国内の現状を、ヤンゴンから報告する。
SNSで呼びかけ、一斉に抗議の音
鍋や食器など金物を打ち鳴らす音、自動車のクラクション、拍手、歌、あらゆる音が2月2日午後8時、ヤンゴンの街に一斉に響き渡った。道路に出て飲料水の空きボトルをたたく人もいれば、地面をたたく人もいた。マンションのベランダから、懐中電灯を照らしたり、携帯電話のライトを揺らしたりする人もいる。いずれも前日に起きた国軍によるクーデターに抗議する人たちだ。「スー・チー母さんの安全を願う」という叫び声も聞かれた。抗議の音は30分以上、ヤンゴンの街に響き渡った。
この抗議行動は、フェイスブックなどインターネット交流サイト(SNS)で呼び掛けられた。金物を鳴らして大きな音を立てるのはミャンマーの祭りで行われる習慣で、悪魔を追い払うという意味がある。表立って抗議の声を上げられない一般市民が、夜の闇に紛れて目立たないようにして、そろって行動に出た瞬間だった。「一人で抗議はできないけど、どうにかして自分たちの反対の声を上げたいと思った」と、活動に参加した会社員男性は話した。
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