【ワシントン=蒔田一彦】米国のトランプ前大統領に対する弾劾(だんがい)裁判の審理が9日から始まるのを前に、トランプ氏の弁護団は2日、大統領退任後の弾劾は「憲法に違反する」と主張する反論文書を上院に提出した。
トランプ氏は、昨年の大統領選が不正だと主張し、支持者が連邦議会議事堂を占拠する事件を招いたとして、「暴動の扇動」を理由に弾劾訴追された。弁護団は、既に大統領を退任したトランプ氏を弾劾で罷免(ひめん)することはできないと主張した。トランプ氏の発言についても「全ての米国人同様、(言論の自由を保障した)憲法修正1条に守られている」とした上で、「トランプ氏は破壊的な行為を扇動していない」と反論した。
弾劾裁判で検察官役を務める「訴追委員」の民主党下院議員も2日、上院に文書を提出した。占拠事件は「トランプ氏に唯一の責任がある」と指摘し、「大統領が任期終了間際に免罪符を手にするわけではない」と、退任直前の言動が弾劾の対象になると主張した。
上院は民主党系と共和党が50議席ずつを占める。弾劾裁判でトランプ氏が「有罪」となるには出席議員3分の2の賛成が必要だが、共和党内で賛同する動きは広がっていない。
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