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【ワシントン=山内竜介】世界銀行が11日発表した「国際債務統計」で、低・中所得国の中国に対する債務が2020年末時点で約1700億ドル(約19兆円)となり、11年と比べて3倍超に膨らんだことが明らかになった。巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国の途上国での影響力拡大を改めて示した一方で、融資を受けた国が借金漬けに陥る「債務のわな」への懸念もある。 【写真特集】中国 急ぐ「脱貧困」
統計によると、低・中所得国の対中債務のほとんどが、インフラ(社会基盤)整備の関連だった。サハラ砂漠より南のアフリカ各国が多額の融資を受けているほか、モルディブやパキスタン、スリランカで中国が国別で最大の債権者となった。リスクが表面化する例も生じており、スリランカでは計画がずさんだった最大級の港湾整備案件が破綻し、中国が債権の代償として港湾利用権を取得した。
低・中所得国向けの融資残高(20年末)は、国際復興開発銀行(IBRD)が2040億ドル、国際開発協会(IDA)が1770億ドルに上る。中国は国際機関に匹敵する資金を供給していることになる。
途上国を借金漬けにしかねない「一帯一路」に対抗するため、日本、米国、オーストラリア、インドの4か国の枠組み「クアッド」が9月に開いた首脳会談では、インド太平洋地域のインフラ整備支援で協力する方針が打ち出された。日本主導で主要20か国・地域(G20)が合意した「質の高いインフラ投資」の国際原則を重視し、透明性の高い融資によるインフラ整備の支援で、中国との差別化を図る。
一方、世銀の統計によると、所得が低い最貧国の20年の債務負担額は前年比12%増の8600億ドルで、過去最高に達した。新型コロナウイルス対策などの財政支出が膨らんだ。
世銀のマルパス総裁は声明で、「持続可能な債務レベルは、経済回復と貧困撲滅に不可欠」と強調した。最貧国の借金問題は、13日に開かれる主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で議題の一つとなる。
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