アンソニー・ザーカー北米担当編集委員
アメリカのケヴィン・マカーシー下院議長(共和党)は12日、ジョー・バイデン大統領に対する正式な弾劾訴追の調査を開始すると発表した。「権力の乱用、妨害、汚職の疑惑」に焦点を当てるとした。
共和党は1月に下院で多数を握った。以来、民主党のバイデン大統領について調査を続けてきた。
公聴会も開いてきたが、これまでのところバイデン氏の不正の具体的な証拠は見つかっていない。
だが、共和党が問題視している、大統領の息子ハンター・バイデン氏による商取引や、大統領が息子の活動をどれほど知っていたかについて、関心を集める結果となっている。
マカーシー氏は声明で、大統領の行為に関して「深刻かつ信用しうる」疑惑があると主張。
「総合すると、これらの疑惑からは汚職の文化が浮かび上がってくる」とした。
ホワイトハウスは素早くマカーシー氏の決定を非難。イアン・サムズ報道官は、「下院共和党は9カ月間、大統領について調査してきたが、不正行為の証拠は何一つ見つからなかった」、「過激な政治の最悪の例だ」とソーシャルメディアに投稿した。
大統領は関与を否定
マカーシー氏は大統領の家族について、不正疑惑を調べている当局から特別扱いを受けているとしている。
これに対しホワイトハウスは、大統領はハンター氏の事件にも事業にも一切関わっていないと主張している。
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弾劾訴追の調査が始まることで、議会調査官は大統領についての調査で、大きな法的権限をもつ。文書や証言について召喚状を発行し、法廷で強制執行することが容易になる。
米憲法は大統領について、「反逆罪、収賄罪、その他の重罪または軽罪」を犯せば弾劾される可能性があると定めている。
しかし、バイデン氏の罷免を狙う動きが成功する可能性は低いとみられる。
下院は共和党が222対212の僅差で多数を握っており、罷免に賛成する可能性がある。しかし、上院は民主党が多数派で、罷免はほぼ間違いなく否決となる。
マカーシー氏の難しい立場
マカーシー氏はここ数週間、共和党内の右派議員らから、弾劾訴追の調査を開始するよう働きかけられていた。
ドナルド・トランプ前大統領の盟友のマット・ゲッツ下院議員(フロリダ州)は、マカーシー氏が調査を開始しなければ、党の指導的地位から解任するための投票を強行すると脅していた。
マカーシー氏は現在、下院で一連の歳出法案の通過を目指している。今回、党内の弾劾の動きを支持に回ったのは、予算をめぐる闘争に先立ち、右派議員らの機嫌を取ろうとしたとみることもできる。
しかし、こうした戦略にはリスクが伴う。厳しい選挙を勝ち抜いてきた中道派の共和党議員らは、弾劾訴追に向けた積極的な動きについて、支持しない有権者もいるとして、賛成するのをためらっている。これらの議員の一握りでも弾劾に冷ややかな態度を取れば、弾劾は失敗に終わる可能性がある。
こうした状況について、民主党のクリス・クーンズ上院議員は、「マカーシー議長が共和党の中で最も極端な人々に人質に取られていることが露呈した」と述べた。
マカーシー氏は現時点では、弾劾訴追の調査を承認すると述べたに過ぎない。だが、下院での弾劾審理のルールを決めるための、正式な承認投票を求める圧力が高まるとみられる。
そうした投票が行われれば、共和党の中道派の行動が記録に残ることになる。民主党は来年11月の大統領選で、それを攻撃材料にできる。
だがマカーシー氏にとって、それは来年の問題だ。当面は、厄介な保守派議員が公然と反旗を翻すのを食い止めようとしている。
弾劾や弾劾に向けた動きは、マカーシー氏が今後数カ月を乗り切るための政治的な猶予を得ることになりうる。
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