
8日、ヤンゴンで、ミャンマー総選挙の開票作業を進める選挙管理委員会の関係者ら
【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーで8日、任期満了に伴う上下両院選(総選挙)の投票があった。民主化指導者アウン・サン・スー・チー氏(75)の与党、国民民主連盟(NLD)が両院計で単独過半数を維持できるかどうかが焦点だ。2015年の前回総選挙で大勝し、軍事政権の流れをくむ国軍系から歴史的な政権交代を果たした同氏の5年間に審判が下る。
即日開票に移ったが、大勢判明には時間がかかる可能性がある。ミャンマー政府は新型コロナウイルスの感染を抑制できていない。野党側は投票延期を求めたが、投票所で感染が広がるリスクを抱えたままで強行した。
最大都市ヤンゴンの投票所には、午前6時(日本時間同8時30分)の開始時刻の前から有権者が列を作った。前の方で並んでいたNLD支持者の男性、サイ・アン・サウン・ケイさん(39)は「スー・チー氏には子供たちの教育環境を改善してほしい」と話した。
この投票所の入り口では手指の消毒と検温を実施。係員のほか大半の有権者がマスクやフェースシールドを着けていた。

8日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで、マスクやフェースガードを着け、投票済みを示すインクが塗られた小指を見せる有権者ら
改選対象は両院定数(計664)のうち軍人枠の166を除く498議席。このうち「治安上の理由」で投票が見送られた22議席を除く上院161、下院315の計476議席を小選挙区で争う。改選前の8割近くを占めるNLDに、国軍系の連邦団結発展党(USDP)や少数民族諸党が挑む。投票見送りの22議席を定数から差し引けば、NLDは単独過半数を維持するため322議席を獲得する必要がある。
今回は人口の3割の少数民族を中心にNLDからの離反がみられる。国家顧問として政府を率いてきたスー・チー氏への失望が背景にある。5年前の公約の多くが実現していないためだ。武力衝突を繰り返してきた国軍と少数民族の和平、軍事政権下で制定された憲法の改正、インフラ整備を含む経済改革などだ。

ミャンマー総選挙で、事前投票をするアウン・サン・スー・チー国家顧問(10月29日、ネピドー)=AP
投票日前に北部カチン州の少数民族政党の集会を訪れた65歳の農民の男性は「スー・チー氏は多くの約束をしたが果たせていない。カチン族が受ける抑圧や、抱える喪失感を理解しない」と批判した。同州では国軍と武装勢力の戦闘を避け、約10万人が避難する。
投票が見送られた22議席の選挙区は戦闘が続く西部ラカイン州など。少数民族政党の強い地域が多く、野党側は「決定の経緯が不透明だ」と非難する。少数民族政党の議会進出を嫌うNLDの意思が働いたとの見方だ。
国民の多くにとって多数派のビルマ族出身で独立運動の英雄を父に持つスー・チー氏の人気はなお根強い。亡夫が英国籍だったため憲法の規定で大統領になれないが、事実上の政府トップだ。
同氏が軍事政権に抵抗する民主化運動の指導者と認知されたのは1988年。母親の看病で帰国した際、軍事政権に対する学生らの蜂起に遭遇し、請われて参加した。
軍事政権は計15年にわたりスー・チー氏を自宅に軟禁した。同氏はその間の91年にノーベル平和賞を受賞。欧米の圧力を受けた軍事政権は2010年の総選挙を経て民政に移行した。その直後に軟禁を解かれた同氏は12年の補欠選挙で下院議員に当選。15年の総選挙でNLDを大勝に導いた。
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