米大統領選でバイデン前副大統領の当選が確実となったことは、日本外交に複雑な影響を及ぼしそうだ。2国間の取引を好むトランプ大統領と異なり、多国間の協調を重視するバイデン氏が政権の座に就けば、地球温暖化対策や自由貿易促進で国際的協調を促す期待が高まる一方、これまで日本が生かしてきた強みを失う恐れもある。
トランプ政権で激しい対立が続いた米中関係をめぐっては、日本政府内では「民主党、共和党に関係なく対中強硬姿勢は続く」(政府高官)との見方が大勢だ。ただ、バイデン政権ではそのスタイルが変化する可能性もあり、日本外交が受ける影響は決して小さくない。
安倍晋三政権で外交戦略策定に当たった関係者は「トランプ氏の良いところは、中国に法外な関税を課しても、日本に同じような行動を求めないことだ。これが歴代米政権と違う」と語る。これに対し、バイデン氏の外交ブレーンは同盟国と一致した対応を重視する発言を繰り返しており、通商や人権問題で足並みをそろえるよう求める場面も想定される。
日本政府はこれまで日米同盟の強化を図る一方、対中国では米国と比べ穏健な姿勢で日中関係の安定化を図ってきた。地球温暖化問題などで中国の協力を引き出したいバイデン政権が対中政策を緩めれば、中国が日本との良好な関係を求める必要性も弱まる。
バイデン氏は選挙期間中、トランプ氏が離脱した気候変動対策のパリ協定に復帰する意向を示してきた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関しても「再交渉する」と言明している。米国がパリ協定やTPPに復帰すれば、日本にとって歓迎する動きであることには違いない。
ただ、安倍政権では多国間協力に後ろ向きなトランプ政権を尻目に、米国を除いた11カ国によるTPP11を主導したことが日本外交の信望を高める一助となった。安倍氏が「自由で開かれたインド太平洋」に向けてリーダーシップをとれたのも、トランプ氏の一国主義に各国が懸念を深めていた事情が後押しした側面は否めない。
こうした有利な外交環境はバイデン政権発足後に失われる公算が大きい。菅義偉(すが・よしひで)政権は引き続き米政府との連携を維持しつつ、外交戦略の練り直しが迫られることになる。(杉本康士)
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