【モスクワ=工藤武人、田村雄】モスクワの裁判所は2日、ロシアの反政権運動指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(44)が過去に受けた執行猶予付き禁錮刑(3年6月)の確定判決に絡み、実刑への切り替えの是非を審理した。
プーチン政権側はナワリヌイ氏を療養先のドイツから帰国直後に拘束し、排除を優先する姿勢を鮮明にしており、裁判所は実刑への切り替えを認める公算が大きい。ナワリヌイ氏は上訴できるものの、拘束は長期に及ぶことになる。
裁判所が審理したのは、ナワリヌイ氏がフランスの化粧品会社から約2600万ルーブル(当時のレートで約5500万円相当)を詐取したと2014年に認定された事件の判決だ。
刑務当局が、執行猶予期間の満了日の前日、昨年12月29日付でナワリヌイ氏を指名手配し、実刑判決への切り替えを求めていた。
2日の審理は、10人以上の欧米外交官も傍聴した。刑務当局はナワリヌイ氏が「行方をくらませようとした」などと指摘し、執行猶予の要件とされている所在地などの定期連絡を怠った点を問題視した。ナワリヌイ氏は昨年8月に毒物で襲撃され治療を受けていたドイツから刑務当局に「何度も文書を送った」と反論した。ロシアでは司法機関もプーチン政権の統制下にある。
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