
15日のトランプ氏、バイデン氏の対話集会は同時間帯にテレビ中継された=ロイター
米大統領選は15日、トランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が有権者との対話集会をそれぞれ開いた。ともにテレビ中継された集会の開催時間を、トランプ氏はバイデン氏の集会にぶつけて対抗し、支持率でリードするバイデン氏への追い上げを狙った。しかし新型コロナウイルス対策などで防戦に追われ、反転への決め手を欠いた。
15日の対話集会は当初予定していた両候補が直接対決する第2回テレビ討論会が、トランプ氏の新型コロナ感染で中止になったのを受け、代わりに開いたものだ。異例の同時刻の開催で、場所はトランプ氏が南部フロリダ州、バイデン氏が東部ペンシルベニア州と、ともに激戦州を選んだ。

有権者からの質問に答える形式だったが、好対照の展開をみせた。トランプ氏の対話集会はリベラル系のNBCテレビの主催だった。司会者がトランプ氏に畳みかけるように質問を重ね、同氏が顔を赤くして反論する場面が目立った。
例えば新型コロナへの対応だ。感染が広がる前に国民に脅威を伝えなかった理由を司会者から問われたトランプ氏は「この国をパニックに陥れたくなかった」と釈明。マスクを着けない支持者が目立つ選挙集会が適切かと迫られると「大統領として外に出ないといけない。私はみんなに会いたい」などと開き直った。

税制についての有権者からの質問には「バイデンは中間層も含めて増税する。不況になる。企業も逃げていく」と答えた。すると司会者が米紙ニューヨーク・タイムズが報じた納税逃れ問題に話題を振ってトランプ氏を追及。同氏は「彼らがやったことは違法だ」と調査報道の手法に問題があるとの批判で応戦した。
トランプ氏にとっては対話集会をバイデン氏を攻撃して評価を落とす機会にしたいところだったが、攻めあぐねる場面が目立った。トランプ氏の陣営は対話集会後に声明を出し、司会者を「討論相手でバイデンの仲間」だったと非難した。
一方、バイデン氏の集会はリベラル系のABCテレビが主催し、落ち着いた雰囲気で淡々と進んだ。司会者はクリントン政権でホワイトハウス広報部長を務めた人物で民主党との関係が深い。
「28%への法人税引き上げは公平になる」。バイデン氏は共和党支持者から税制を問われるとメモを取り出して細かい数字を並べながら説明した。増税の早期実施に意欲を示しつつも「我々は民主主義であり、意見を一致させる必要がある」と指摘し、共和党とも時間をかけて調整する穏健派の姿勢もアピールした。
政治サイト、リアル・クリア・ポリティクス(RCP)がまとめた各種世論調査で、バイデン氏は全米支持率の平均でトランプ氏を9.4ポイントリードする。
ただ民主党の副大統領候補のハリス上院議員周辺の感染が判明し、ハリス氏は18日まで全米行脚の中止を決めた。高齢のバイデン氏は健康不安を抱える。息子ハンター氏と不正疑惑のあったウクライナ企業との関係もくすぶる。逃げ切りを目指すバイデン氏にとっても、火種を抱えての終盤戦となる。
(ワシントン=永沢毅)
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