日本を恐れていた米国の変質を睨み一国平和主義からの脱却を
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日本は一国平和主義から脱却して、ウクライナに歩兵戦闘車(89式装甲戦闘車)を供与すべきである。
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、解決の糸口を見いだせぬまま来月で1年となる。
ウクライナ軍のザルジニー総司令官は2022年12月15日に英エコノミスト誌のサイトで公開されたインタビューで、ロシア軍が2023年1月末から3月にかけて新戦力で大規模な攻勢をかけるとの見方を示した。
攻撃は東部ドンバス地域や南部で始まり、首都キーウにまで及ぶ恐れもあるとみている。
ウクライナは反攻作戦を視野に、ロシア軍との地上戦に有効な戦車や装甲車の供与を欧米に要請している。
既に東欧などの旧東側諸国は旧ソ連製の戦車を供与していたが、欧米諸国は、ロシアとの軍事的緊張の高まりを恐れ西側製の装甲車や戦車の供与に慎重だった。
ところが、2023年1月4日、米国は「M2ブラッドレー」歩兵戦闘車を50台、フランスは「AMX10RC」歩兵戦闘車(台数不明)を、同6日にはドイツが「マルダー」歩兵戦闘車を40台、ウクライナに供与すると明らかにした。
さらに、1月11日、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、ウクライナに対しポーランド保有のドイツ製の主力戦車「レオパルト2」を供与する方針を明らかにした。これにはドイツの承認が必要となる。
また、1月14日、英首相官邸は、数週間以内に英軍の主力戦車「チャレンジャー2」14両をウクライナに供与する方針を発表した。
現時点のウクライナ戦争の焦点は、ドイツがポーランドの「レオパルト2」のウクライナへの供与を許可するかどうか、および米・仏・独が自国の主力戦車をウクライナに直接供与するかどうかである。
ところで、話は変わるが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まった2月末、岸信雄防衛大臣宛に、ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防相から、「防御用の兵器、兵站、通信、個人防護品」などの支援要請が届いた。
そして、日本がウクライナに送ったのが、防弾チョッキとヘルメットである。
「ウクライナはこんなひどい目に遭っているのに、なぜ日本は武器を支援しないんだ。普通の国(normalcountry)とはいえない。価値(value)の判断もできない国なのか」と、欧州のある国の外交官は2022年春、日本の外務省幹部を非難した。
外務省幹部は「価値判断という表現は『善悪すらわからない国』という意味に感じた」と振り返る。(出典:日経新聞「「普通の国」と戦後民主主義」2022年10月22日)。
今、湾岸戦争の教訓を想起すべきである。
1990年8月2日、イラクによるクウェートへの軍事侵攻で始まった湾岸戦争は、冷戦後の世界が経験した最初の国際危機であった。
この危機に際し、日本の貢献は130億ドルの資金的貢献のみであった。日本が莫大な資金的貢献をしたにもかかわらず、クウェート政府が米国の主要英字紙に掲載した感謝国30カ国には日本の国名がなかったことは日本人に大きなショックを与えた。
ウクライナ戦争におけるウクライナの勝利は、欧米諸国からの兵器の供与にかかっている。戦後、ウクライナが、軍事支援しなかった日本を感謝国に加えるとは思えない。
筆者は、日本が一刻も早く「一国平和主義」から脱却し、ウクライナに兵器を供与することを願っている。
日本がウクライナを支援する理由の一つは、今回のロシアの力による一方的な現状変更の試みを国際社会が許してしまえば、アジアでも同じような事態が起こりかねないということである。
以下、初めに一国平和主義からの決別について述べ、次にウクライナへの防弾チョッキ供与の顛末について述べ、最後に防衛装備移転三原則の撤廃について述べる。
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