
英国・南西部のリゾート地、コーンウォールで始まったG7サミット。首脳らが身を寄せ合い、マスクなしで語り合う姿は、コロナ禍からの着実な回復を感じさせる。G7は、ワクチン10億回分を途上国などに供与する見通しとなった。 一方で開幕直前、中国はG7を念頭に「偽物の多国間主義」と強くけん制した。その中国は世界を舞台に「ワクチン外交」を展開する。中国製ワクチンを武器に、供給不足に悩む途上国に「台湾との断交」を迫る政治取引、圧力の実態も明らかになった。これにアメリカ・バイデン政権は猛烈な巻き返しを図っている。 いったい何が起きているのか。舞台裏を探った。 (ワシントン支局長・矢岡亮一郎)
2年ぶり対面サミット直前…中国が「偽物の多国間主義」
サミット初日の晩さん会。95歳のエリザベス女王はじめロイヤルファミリー、初参加のバイデン大統領、菅首相、議長役のジョンソン首相…首脳らはマスクなしで2年ぶりの対面サミット開催を祝った。 この直前、バイデン大統領に同行しているブリンケン国務長官は、中国の外交トップ・楊潔チ(チ=タケかんむりの下、まだれに虎)政治局員と電話で向き合った。激しいやりとりを見せた3月のアラスカ会談以来の対話。楊氏は、G7サミットを念頭に「偽物の多国間主義」と強くけん制した。武漢ウイルス研究所からのウイルス流出説にも「荒唐無稽なストーリー」だと反発した。一方でブリンケン長官は、ウイルスの起源の解明には透明性が重要だとして、WHO(=世界保健機関)の追加調査の受け入れを迫った。米中の対立は一層激しさを増している。
「台湾と断交を」中国“ワクチン外交”圧力の実態は
中国が東欧・アフリカ・中南米など世界各地で展開している「ワクチン外交」。この攻勢に今月3日、バイデン政権が待ったをかけた。ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームの定例ウェブ会見。ここに国家安全保障を担当するサリバン大統領補佐官が姿を見せた。発表されたのは、すでに国外供与を表明していたワクチン8千万回分のうち2500万回分の供与先。サリバン氏は、中南米・アジア・アフリカなどの具体的な国名を読み上げた。 ホワイトハウスの外交の司令塔、国家安全保障担当のサリバン補佐官が、わざわざ医療チームの会見に出てきたことにはそれなりの意味がある。供与先で目を引いたのは、感染の急拡大に苦しむ台湾。そして、中国が「ワクチン外交」でとりわけ攻勢を強める「アメリカの裏庭」中南米の国々だった。中でもリストに入ったエルサルバドルは18年に台湾と断交し、中国シフトを強めている。このほかリスト入りしたのは、グアテマラ、ホンジュラス、パラグアイ。いずれもワクチン不足に陥る中、中国から台湾との断交を迫られているという。
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