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ロシア ウクライナ軍事侵攻 “80以上の施設攻撃”ロシア国防省 - NHK NEWS WEB

ロシアは24日、ウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、ロシア国防省は、これまでに11の空港を含むウクライナ軍の80以上の施設を攻撃したと発表しました。プーチン大統領は「ほかに選択肢はなかった」と述べ、軍事侵攻を正当化しました。

ロシアによる軍事侵攻は24日、ウクライナの各地で始まり、ロシア国防省は、これまでに11の空港を含むウクライナ軍の83の地上施設を攻撃したと発表しました。

ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は、あくまでも軍事施設を対象にした攻撃であり、民間人に対する脅威はないと主張しました。

一方、ウクライナ軍参謀本部によりますと、首都キエフの郊外にある軍事施設が巡航ミサイルの攻撃を受けたほか、ウクライナ軍の東部の拠点となっているクラマトルスクや、南部にある軍事施設など各地で攻撃が続いたということです。

また、ウクライナ大統領府の幹部は地元メディアに対して、国内にあるチェルノブイリ原子力発電所が激しい戦闘の末、ロシア軍の部隊に占拠されたとしています。

敷地内にある放射性廃棄物の貯蔵施設の状態は不明だということです。

さらに、ウクライナ東部の親ロシア派の幹部は、ウクライナ政府が統治する地域まで侵攻し、2つの州の全域を掌握したいとする考えを示しました。

ロイター通信は、ウクライナ大統領府の関係者の話として、これまでにウクライナ軍の兵士40人以上が死亡し、数十人がけがをしていると伝え、現地当局の情報として、北東部ハリコフ州の建物への攻撃で男の子1人が死亡したとしています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによる軍事侵攻を強く非難したうえで、ロシアとの国交の断絶を表明しました。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は24日、国内の経済界との会合で「いま起きていることはすべて必死の手段だ。ほかに選択肢はなかった」と述べ、軍事侵攻を正当化しました。

ロシア軍は、欧米側の警告を無視してウクライナ各地で軍事侵攻に踏み切り、国際社会からの非難が強まっています。

被害現場の様子は

ロイター通信は、ロシア軍が攻撃を行ったとされる、ウクライナ東部、ハリコフ州での複数の被害現場の様子を伝えています。

このうち、州都のハリコフにある建物の室内を映した映像では、部屋の屋根や壁が大きく崩れ、破片が床に散乱して足の踏み場もない状態になっています。

また、州内の別の都市のチュグエフにあるマンションは、壁一面の窓ガラスのほとんどが割れてなくなり、ベランダの部分がめちゃくちゃに壊れ、がれきが地面に散乱しています。

近くには、毛布にくるまって不安そうに電話をかける女性や、壊れたマンションの前で立ちすくむ人たちの姿もありました。

一方、親ロシア派が事実上支配している東部のドネツク州でも被害が出ていて、避難を余儀なくされる住民からは不安やとまどいの声が聞かれました。

住民の女性たちは「自分の家を離れなければならない。いったい何が起きているのか」とか「1人なのにどこに逃げればいいの」などと半ば叫ぶように話していました。

ウクライナ側発表の被害状況

ウクライナ大統領府の補佐官は24日の会見で、ロシア軍の侵攻開始以来、ウクライナ軍の兵士40人以上が死亡し、数十人が負傷したと発表しました。

現地メディアによりますと、補佐官は、被害は主に空爆やミサイル攻撃によるものだとしたうえで「一定の消耗はある」としながらも、人員、弾薬、戦闘能力のいずれにも深刻な影響は出ていないという見方を示しました。

また、ロイター通信は、地元当局の話として、黒海沿岸の港湾都市オデッサ周辺では、ミサイル攻撃によって市民など少なくとも18人が死亡したと伝えています。

さらに、ウクライナ警察の発表として24日にロシア側から203回にわたって攻撃を受け、領土のほぼ全域で戦闘が繰り広げられていると伝えています。

ウクライナのクレバ外相は「ロシアの侵攻は東部にとどまらず、多方面から全面的な攻撃を受けている。ウクライナは防衛を続ける」とSNSに投稿し、国内全土に戦闘が広がっているとしました。

また、ウクライナ軍参謀本部はSNSで24日、ウクライナ軍が東部のルガンスク州でロシア軍の兵士およそ50人を殺害したとしました。

ゼレンスキー大統領「新たな鉄のカーテンが下りた」

ウクライナのゼレンスキー大統領は24日、国民に向けて演説を行いました。

この中でゼレンスキー大統領は「私たちがいま耳にしているのは、ロケットの爆発音や戦闘の音、軍用機のごう音だけではない。新たな鉄のカーテンが下りてロシアを文明世界から切り離す音だ。このカーテンを私たちの国に下ろすのではなくロシア側にとどめなければならない」と述べ、東西冷戦時の「鉄のカーテン」という表現を用いてロシアを非難しました。

一方、多くのロシア市民も今回の侵攻に衝撃を受け、中にはSNSで反対を表明している人もいるとして、こうした人々にプーチン大統領に直接、訴えかけてほしいと呼びかけました。

そしてウクライナ国民に対しては「祖国防衛に協力し、軍や国境を守る部隊に参加してほしい。敵にさらなる侵攻を許すかどうかは私たちの対応にかかっている。献血などを行ってボランティアや医療関係者も助けてほしい」と述べ、国民に結束と協力を呼びかけました。

さらに世界の政治指導者に向け「自由世界を率いるあなたたちがいま私たちに手を差し伸べなければ、あすはあなたたちが戦禍に見舞われるだろう」と述べ、ウクライナへの支援を呼びかけました。

ノーベル平和賞受賞のロシアの新聞編集長 軍事侵攻に反対の声

ウクライナへの軍事侵攻についてロシアの主要メディアが政権の意向に沿ってロシアの行動を正当化する報道をしている中、反対の声を上げる記者たちもいます。

このうち、プーチン政権の強権的な姿勢を批判する報道を貫き、去年、ノーベル平和賞を受賞したロシアの新聞の編集長、ドミトリー・ムラートフ氏は、24日、新聞社の公式サイトに動画のメッセージを掲載しました。

この中でムラートフ氏は「私たちは悲しみの中にある。わが国はプーチン大統領の命令で、ウクライナとの戦争を始めてしまった。止める者は誰もいない。私は悲しいとともに、恥ずかしいと感じる」と、心境を語りました。

そして「私たちはウクライナを敵国と認めず、ウクライナ語を敵国語としない」と述べたうえで今後、ムラートフ氏の新聞社ではウクライナ語とロシア語の2か国語で記事を執筆し、ウクライナの人たちに向けてもメッセージを発信していくことを明らかにしました。

さらに「最後にもう1つ。この地球上の命を救えるのはロシア人の反戦運動だけだ」とし、ロシア側から戦争反対の声を上げ続けることの重要性を訴えました。

専門家「ゼレンスキー大統領 非常に厳しい局面」

ウクライナ政治が専門で神戸学院大学の岡部芳彦教授は「汚職撲滅やクリミア半島の返還を訴え国民的な人気を得てきたゼレンスキー大統領がロシアに歩み寄る選択肢は考えられず、非常に厳しい局面に立たされている」と指摘しています。

ゼレンスキー大統領は、コメディアンや俳優として活躍した元人気タレントで、高校教師が大統領に転身し、次々と政治改革を進めていくテレビドラマ「国民のしもべ」で主役を演じ、41歳だった2019年に、実際に大統領選挙で当選しました。

クリーンなイメージで汚職撲滅やクリミア半島の返還を訴え、国民的な人気を集め、安定した政権運営を進めてきたということです。

岡部教授はゼレンスキー大統領が置かれている状況について「政府は今のところ機能していると思うが情報が錯綜(さくそう)し、指揮系統が維持されているかはわかりにくい。部分的な侵攻であれば何とか持ちこたえられたかもしれないがここまで大規模になるとロシアに太刀打ちする手段はない。欧州路線を明確にしてきただけにロシアに歩み寄る選択肢は考えられず、引き続き国際社会に支援を訴えていく形になるが非常に厳しい局面に立たされている」と指摘しています。

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