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英EU、漁業で明暗 「安堵」「裏切り」―FTA合意 - 時事通信ニュース

2020年12月29日07時13分

取材に応じるマクロン仏大統領=10日、ブリュッセル(AFP時事)

取材に応じるマクロン仏大統領=10日、ブリュッセル(AFP時事)

  • 総選挙を前にした選挙運動で、魚市場を訪れたジョンソン英首相(右)=2019年12月、東部グリムズビー(AFP時事)

 【ロンドン時事】1月末に欧州連合(EU)を離脱した英国とEUの自由貿易協定(FTA)締結交渉は、英海域でのEU加盟国の漁業権の在り方という最大の懸案で明暗がくっきり分かれた。ジョンソン英首相は決裂回避のため、土壇場でEUに大幅譲歩。その結果、EUの漁業者は合意内容に「ほっとした」と胸をなで下ろし、英漁業者は「裏切りだ」と激高する事態となっている。

【特集】英国、EU離脱問題

 ◇仏の気迫
 「この協定はみんなのためのものだ。交渉では相応の妥協をした」。ジョンソン氏は漁業で折れることで英国全体の利益を守ったと述べ、自らの判断を正当化した。
 26日に公表された協定文によると、英海域でのEUの漁獲高のうち、英国が離脱に伴って取り戻すのは5年半で計25%。当初の目標だった80%の奪還には程遠い幕引きと言える。英国はEU漁船を自国海域から排除する「主権」を有するが、EUにも報復関税などで対抗する「抑止力」が認められたため、英国が一方的に権限を行使しにくい取り決めとなった。
 水産資源の豊富な英海域で操業するEU主要国フランスの漁業関係者はAFP通信に、合意は「漁師にとって大きな安堵(あんど)」と語り、英EU双方が「ウィンウィンだ」と評価した。
 マクロン仏大統領は2022年の大統領選をにらみ、漁業問題で強硬論を展開。英国が譲らなければ物別れも辞さない構えを貫き、気迫でジョンソン氏を上回った。
 ◇交渉のセオリー
 一方、英国内では悲痛な声が渦巻く。全国漁業団体連合会(NFFO)は26日の声明で「首相は(EUに)屈服した」「より良い未来を手にする絶好の機会が無駄になった」と、やり場のない思いを吐露。北部スコットランドの漁業団体も、ジョンソン氏がバラ色の結末を「約束するだけしておいて、ひどい期待外れだ」とぶちまけた。
 漁業は関連産業を含めても英経済の0.1%程度を占めるにすぎない。しかし、16年の国民投票でEU離脱が決まった背景には、漁業者の全面的な支持があった。
 当時、離脱派を率いたのがジョンソン氏。その後、「胆力」「突破力」を買われて首相の座を射止めると、「われわれの海の支配権を回復する」と何度も豪腕をアピールした。漁業者とは一蓮托生(いちれんたくしょう)と思われたが、最後に決定的な亀裂が生じた。
 EUとの交渉は英国の威信と、離脱の成否を懸けた闘争だった。ただ、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど全27加盟国を擁するEUは経済力や市場規模で英国を圧倒。いくらジョンソン氏が上手を取ろうともがいても、「交渉は強い方が勝つ」(外交筋)というセオリーにはあらがえなかった。

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