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新型コロナが「ただの風邪症状を引き起こすウイルス」になると考えられる2つの理由 - Newsweekjapan

<日本など変異株が猛威を振るっている国もあるが、世界全体を見れば、感染症収束に向けての動きが見えてきた。集団免疫はどのように達成されるのか。その免疫は本当に効果があるのか。今後の3つのシナリオを検討する>

中国・湖北省武漢で発生した今回の新型コロナウイルス感染症が汎世界的に流行(パンデミック)して、1年以上が経過した。イタリアやスペイン、フランスといったヨーロッパの国では、変異株ウイルスが再流行し、ロックダウン(都市封鎖)が行われている(2021年4月1日現在)。

日本でも第4波の流行が懸念され、東京都や大阪府、兵庫県、宮城県などにまん延防止等重点措置が適用されている(編集部注:5月11日現在は東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言が発令され、その延長と対象地域の拡大が決まる見込み)。

しかし一方で、世界全体を見てみると、各地でワクチン接種が始まり、逆説的だが新型コロナウイルス感染症収束に向けての動きが見えてきたようにも思える。

イギリスに「夜明け前が最も暗い」ということわざもある。

事実、アメリカやイギリス、そして世界最速ペースで国家レベルでのワクチン接種を進め、人口の半数以上が2回の接種を終えたイスラエルでは、新規の感染者数に明らかな低下傾向が認められる。

そこで本稿では、これまでに分かった知見を基に、今後想定されるシナリオを提示し、私たちの前にどのような世界が現れてくるか考察してみたい。まずは、集団免疫と収束について、次いで2030年とそれ以降の世界について考えてみたい。

ある集団で実効再生産数(感染者1人が新たに何人に感染させるかを示す指標)が1を下回るために必要な、免疫を獲得した人の割合を集団免疫という。

そして例えば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)では、基本再生産数(誰一人として免疫を獲得していない集団で、1人の感染者が何人に感染させるかの平均値)は、現代社会では2~3の間の値を取ると推定されている。

話を単純化するために、新型コロナウイルスの基本再生産数を2.5とすれば、60%以上の人が何らかの形(自然感染かワクチンかのいずれかとなる)で免疫を獲得すれば、ウイルスは集団に持ち込まれても、流行は拡大せず収束へと向かう。これが集団免疫である。

結論から言えば、集団免疫を達成することによってのみ、今回の新型コロナウイルス感染症は収束に向かう。そしてその集団免疫は、理論的には自然感染かワクチン接種、あるいはその両者によって獲得されることになる。

一方で、ある時点において集団免疫が獲得できたとしても、社会は、新生児という形で新たに感染する可能性のある感受性者を用意する。新たに生まれてきた子供は免疫を持っていないからだ。

しかしそうした感受性者も、自然感染かワクチン接種によって、集団免疫を達成する水準の割合で免疫を獲得する必要がある。そうして初めて、集団は安定的な集団免疫水準を維持できることになる。

そうした社会では、今回の新型コロナウイルスはどのような感染症になっていくのだろうか。

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