ＥＵ、ロシア人観光客制限ビザ優遇措置停止 - 産経ニュース

【パリ＝三井美奈】欧州連合（ＥＵ）は８月３０、３１の両日、非公式外相会合を開き、ロシアに対する査証（ビザ）発給の優遇措置差し止めを決めた。ロシア人への観光ビザ発給を大幅に制限し、ＥＵ流入に歯止めをかける。

ボレルＥＵ外交安全保障上級代表は記者会見で、ロシアから近隣のＥＵ加盟国への入国が急増し、「安全保障上のリスクになっている」と指摘。ＥＵとロシアが２００７年に結んだビザ相互協定の停止で合意したと述べた。ＥＵは２月のウクライナ侵攻開始後、対ロシア制裁で外交官へのビザ発給を制限したが、一般の旅行者は査証制限の対象外となっていた。

ロシアからは２月の侵攻開始後、約１００万人がＥＵに流入したとみられている。対露金融制裁をかわすため、旅行客としてＥＵ加盟国に入ったロシア人が、中国製クレジットカードで現金を引き落とすケースも報じられた。ＥＵ域内に入れば、自由に加盟国間の移動ができる。

ビザ発給制限は、バルト３国とポーランドが強く要求。ロシアの隣国フィンランドも「ロシアが侵略戦争をしているさなか、国民が欧州旅行を楽しむのはおかしい」（マリン首相）という立場を示し、８月半ばに単独でビザ発給の制限措置を決めている。外相会合はこのほか、ウクライナの占領地でロシアが発行したパスポートを承認しないことでも合意した。

外相会合は、ＥＵ議長国チェコの首都プラハで実施。ウクライナのクレバ外相が昼食会に参加した。

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