【シンガポール=森浩】アフガニスタンでイスラム原理主義勢力タリバンが首都カブールを制圧し、15日で1カ月を迎えた。国内経済の停滞で貧困拡大への懸念が強まり、国民の97%が貧困層になるとの試算が出ている。国連は13日、人道支援のため計11億ドル(約1200億円)超の拠出を表明したが、タリバンの統治能力は1カ月がたっても未知数な部分が多く、貧困緩和につながるかは不明だ。 「タリバンが(全身を覆う衣服)ブルカの着用を強要しても気にしない。最大の問題はお金がないということだ」。北部マザリシャリフに住む女性(30)は産経新聞の取材に対し、生活苦を訴えた。 夫は州政府職員だが数カ月前から給与払いが止まっており、再開の見通しは立たない。雇用が継続されるかも不明だ。女性は生活に窮し、家財道具を中古市場で売り払うしかなかった。 国連開発計画(UNDP)は9日の報告書で、関係国との貿易の中断が長期化するなどした場合、実質国内総生産(GDP)が13%減少。2022年半ばまでに国民の97%が貧困層となる可能性を指摘した。 報告書は「経済を支えた国際援助の多くが凍結されたほか、経済活動や行政サービスが中断されている。国民生活は急速に悪化する可能性がある」と警鐘を鳴らした。 タリバンがカブールを制圧した8月15日以降、米国はアフガン政府が米国内に保有する資産90億ドル(約9900億円)の大半を凍結した。国際通貨基金(IMF)や世界銀行も支援を停止した。タリバン暫定政権下で財政が逼迫(ひっぱく)することは目に見えている。 タリバンは今月7日に暫定政権の閣僚を発表したが、古参幹部がポストを独占した。ただ、約20年間、政府軍へのゲリラ戦を続けてきたタリバンには、経済政策に通じた人物は少ないとみられ、財政運営を軌道に乗せられるかは不明だ。 タリバン報道官は経済活性化のために「天然資源開発を進める」との方針を示し、国際社会に協力を呼び掛けた。ただ、各国の政権承認すら進んでおらず、開発は容易ではなさそうだ。 国内ではタリバン支配に抵抗するデモが相次ぎ、14日には南部カンダハルで住民数千人がデモを行った。住民は強制的な住居立ち退きに反発したという。貧困が拡大すれば不満が膨らみ、国内のさらなる不安定化を招く可能性がある。
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