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中国順位「引き上げ」圧力 世銀の事業環境報告書 内部調査、現IMF首脳が関与 - 産経ニュース

米首都ワシントンにある世界銀行グループの本部=2日(共同)
米首都ワシントンにある世界銀行グループの本部=2日(共同)

【ワシントン=塩原永久】世界銀行は16日、各国の事業環境を毎年順位づける報告書「ビジネス環境の現状」で、首脳陣が中国などの順位を引き上げるよう担当部局に圧力をかけたとの内部調査を公表した。ジム・ヨン・キム総裁=当時=や、現在は国際通貨基金(IMF)専務理事のゲオルギエワ最高経営責任者=同=らが不正に関与したと指摘。公正性に疑義が生じたとして報告書を取りやめることを明らかにした。

報告書は各国での事業のしやすさを規制や税制面などから評価。投資を呼び込みたい新興国にとって権威ある指標とされてきた。

米法律事務所に委託された調査によると、キム氏やゲオルギエワ氏は2017年秋、報告書の担当幹部らを招集した会議を開くなどし、中国の順位が高くなるよう評価手法の変更を求めた。側近を通じて圧力をかけたほか、みずから直接、促すケースもあった。

これに前後して、キム氏とゲオルギエワ氏側には、中国政府関係者から「(報告書が)実態を反映していない」などとする不満が伝えられていたという。

働きかけを受けて評価項目が修正され、17年10月末発表の18年版の報告書で、中国が修正前の85位から、前年と同じ78位に引き上げられたという。世銀は当時、資本増強を検討中で、主要出資国の中国の意向を無視できなかったという。

米メディアによるとゲオルギエワ氏は、「調査結果と解釈に根本的に同意しない」とコメントした。キム氏は韓国系米国人で19年2月に任期途中で退任した。

世銀は20年夏、データ不正を内部で把握し、調査を進めていた。報告書は、18年版と20年版で、中国のほかに、サウジアラビアやアゼルバイジャンなどの順位で「不正」があったと結論付けている。

世銀は16日、「調査への信頼は決定的に重要だ」とする声明を発表。報告書の公表を取りやめることを表明した。

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