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ロシア、侵攻長期化視野に兵力増強 ウクライナに62万人 - 日本経済新聞

ロシアがウクライナ侵攻の長期化を見据え、兵員の増強を進めている。プーチン大統領は14日、契約軍人など「志願兵」との契約が2023年は50万人近くに達すると明らかにした。ウクライナの戦闘地域には現在約62万人の兵力を展開しているともいい、プーチン氏は体制強化をアピール。24年3月の大統領選を前に「強いロシア」も誇示する。

プーチン氏は、14日に開催した国民との直接対話と記者会見で、23年に入り48万6000人が契約軍人となり、現在も増加基調が続いているとした。「祖国の利益を守ろうとする動きは衰えていない」とも強調した。

ウクライナに展開する約62万人の兵力のうち、動員による兵士は24万4000人。主力は、「志願兵」として参戦した契約軍人や民間軍事会社の戦闘員などが占めるとみられる。兵員の増強には、動員ではなく、志願兵の確保が欠かせない。

ウクライナの戦闘長期化に伴って、ロシアは兵士の総数も増やしている。プーチン氏は1日、ロシア軍の兵士の総員を23年1月時点から17万人(15%)増やし132万人規模とする大統領令に署名した。

ロシア軍の総員は、ウクライナのクリミア半島を一方的に併合した後の16年に、従来比で1割強減の100万人規模となった。その後は微増にとどまっていたが、ウクライナ侵攻開始後の23年1月に115万人に増加し、今年は1年弱で再度の兵員増の計画となった。

ただ、30万人超の予備役を招集した昨年9月の部分動員令では、発令後に招集を回避しようとする人の出国が相次いだ。国民の多くは動員令への不安感が依然として強い。そのため、プーチン氏は現時点で「追加動員は必要ない」と懸念払拭に努めている。

兵力の増強を狙う一方、ウクライナ侵攻の長期化で軍の損耗は進んでいるようだ。英国防省は4日、ロシア側の死傷者について、死者は民間軍事会社の兵士を含めて7万人、負傷者は22万〜28万人との推計を公表した。

ロシア軍は兵士に支払う報酬を手厚くし、人材不足を補う考え。国防省系のメディアによると、軍高官は10月に兵士の月給が21万ルーブル(約33万円)からだと明らかにした。ロシアの平均月収の3〜4倍程度の水準となる。

地方などでの採用を増やしているとみられるほか、ロシアメディアによると、兵士の確保に向け、ロシアのパスポートを保有する旧ソ連諸国からの移民を、軍事務所に連行し、契約を強いる動きが起きているという。

受刑者を兵士に登用、前線に投入する動きも続いている。米紙ワシントン・ポストは10月、ウクライナ侵攻前に約42万人と推定されたロシアの受刑者数が、約26万6000人にまで減少したと伝えた。

プーチン氏は19日の国防省幹部らが出席した会合で「我々の軍隊が主導権を握っている」と述べた。ロシア軍は東部ドネツク州では主要都市ドネツクにつながるアブデーフカ周辺などで攻撃を継続し、徐々に前進しているとみられる。

英国防省は10日、ロシア軍がウクライナのエネルギー施設を標的としたミサイル攻撃を始めたと分析した。冬の寒さが厳しさを増す中、暖房などに使う施設を攻撃することでウクライナ側の戦意喪失を狙ったものとみられる。

こうした状況下、ロシアの民間世論調査会社レバダセンターが8日発表した直近の国民への調査結果によると、「軍事行動を継続するべきか、和平交渉を開始すべきか」との質問に対し、57%が「和平交渉の開始」と回答した。23年に入ってからは最も高い調査結果となった。一方、「軍事行動の継続」は36%と低下基調が続いた。

プーチン氏は戦時下での「国民の団結」を強調しており、独立系メディアによると、同氏は来年の大統領選で、得票率80%以上の「圧勝」を目指す方針だ。

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