ミャンマー抗議デモ 1日で最悪の38人死亡治安部隊が銃撃 - 毎日新聞 - 毎日新聞

オンラインで記者会見するミャンマー担当のブルゲナー事務総長特使＝2021年3月3日、国連のウェブTVより

　クーデターへの抗議デモが続くミャンマーを巡り、国連のブルゲナー事務総長特使（ミャンマー担当）が3日記者会見し、治安部隊によるデモ隊への銃撃などで3日に38人が死亡したと明らかにした。2月1日のクーデター後、1日の死者数としては最悪となる。国連安全保障理事会は5日、ミャンマー情勢に関する非公開会合を開く予定で、ブルゲナー氏は「非常に強い手段」を取るよう求めた。

　最大都市ヤンゴンなどでは4日もデモが続き、治安部隊が発砲や催涙ガスなどで弾圧を図った。

　クーデターの発生以降、デモ隊側の死者は50人を超えた。国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」によると、死者には14～17歳の少年4人も含まれる。米国務省のプライス報道官は3日の記者会見で「人命が失われていることは忌まわしい。適切な対応策を検討している」と述べた。フランスのマクロン大統領も4日にツイッターで「弾圧をすぐにやめるよう（軍に）求める」と国軍を非難し、デモ参加者らに「我々はあなたたちの側にある」と述べた。

　ブルゲナー氏は、現地で撮影された映像から、治安部隊が9ミリ口径の短機関銃を使用しているとみられると指摘した。「抵抗していないのに1メートルの至近距離から撃たれた」ケースもあるという。拘束された約1200人について「家族の多くは、どこで拘束されているのか、健康かどうかも知らされていない」と述べた。

　ブルゲナー氏は国軍とも接触している。情勢悪化を受け、国連加盟国や安保理が更に強硬な措置を取る可能性があると警告すると、国軍幹部は「制裁には慣れているし、過去の制裁も切り抜けてきた」と反発。国際社会での孤立も「数少ない友人と一緒にやっていく」などと応じ、姿勢の変化はみられなかったという。

　今後の国軍の行動について、ブルゲナー氏は「現在の目標は（アウンサンスーチー氏らによる）国民民主連盟のメンバーを刑務所に入れ、（昨年11月の）選挙は不正で犯罪だったと主張することにあるとみられる。その後、選挙を実施して勝利し、権力を保ちたいのだろう」と語った。

　一方、この10年間の民政で自由を享受してきた若い世代がソーシャルメディアでつながり、協力して国軍に抵抗していると指摘。「これは国軍にとって驚きだっただろう。現状を脱するために、彼らを支援することも必要だ」と述べた。

　安保理は5日、英国の要請で対応を話し合う。中国やロシアは「内政問題だ」との立場で介入には消極的だ。ブルゲナー氏は「中露が（他国との）協力の重要性を認識することを期待する」と話したが、5日の会合で対ミャンマー制裁まで踏み込むのは難しい情勢だ。安保理外交筋は「最新情勢を検討し、何ができるのか模索したい」と語った。【隅俊之（ニューヨーク）、秋山信一】

Let's block ads! (Why?)