現地の混乱を最小限に抑えるために、もう少し慎重に進めるやり方があったのではないか。
アフガニスタンからの出国を望む多くの人が取り残され、米国に対する信頼が損なわれかねない事態となったのは残念である。
20年間にわたりアフガンに駐留していた米軍が完全撤収した。バイデン大統領は「米国史上、最も長い戦争を終えた」と宣言し、撤収は「正しく、賢明で最善の決定だった」と米国国民に訴えた。
「テロとの戦い」から、中国やロシアとの大国間競争に国防戦略の重点を転換するというバイデン氏の考えは理解できる。アフガン撤収もその延長線上にある。
ただ、バイデン氏が今春に完全撤収を決めた時と比べ、現地の情勢は激変した。アフガンの政権がこれほど早く崩壊し、イスラム主義勢力タリバンが実権を握ることは想定していなかったはずだ。
首都カブールの空港付近で8月下旬に起きたテロにより、各国が進めていた自国民とアフガン人協力者の退避は大きく滞っている。空港を管理していた米軍の撤収で、作業は困難さを増した。
タリバンに外国人保護や人権尊重を迫るなど、米国がやるべきことはまだある。今回の教訓を生かし、関与を続けてもらいたい。
タリバンは政権を担うにあたって、空港を円滑に運営し、安全な出国を保証できるかどうかが問われている。空港がマヒしていては、各国の支援物資は届かず、政権の正統性の承認も期待できまい。
日本は自衛隊機3機をカブール空港に派遣し、日本人1人と米国から依頼されたアフガン人14人を退避させた。だが、日本大使館や国際協力機構(JICA)が雇用するアフガン人職員ら約500人を出国させられなかった。
カブールの陥落から自衛隊機の派遣決定まで8日もかかったことが、最大の原因だ。民間機の活用や外国軍に頼り、自衛隊派遣を避けようとする長年の習癖が、対応の遅れを招いたのではないか。
今回の事例を教訓に、日頃から情報収集に努め、危機が起きたら迅速に判断できるよう、備えを高めておくことが重要だ。
派遣の根拠となった自衛隊法の規定は、安全な輸送を条件としている。緊急事態だからこそ、自衛隊の派遣が必要になるという現実と矛盾している。
空路は陸上輸送よりも戦闘に巻き込まれるリスクは小さい。どのような活動が憲法上可能かについて、より
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