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【ソウル=桜井紀雄、北京=三塚聖平】中国と北朝鮮が中朝友好協力相互援助条約を締結して11日で60年になる。条約には一方が外国から攻撃されれば、他方は軍事的に援助する自動介入条項が含まれ、双方が米国を牽制(けんせい)する上で重みを増している。バイデン米政権が対中包囲網の形成を進める中、中朝は互いに関係強化を誇示するが、新型コロナウイルスの影響で最低限の往来さえ途絶えている。
北朝鮮の朝鮮中央通信は10日、国務委員会が9日、中国の李進軍(リ・シングン)大使らを招き、条約締結60年を祝う宴会を催したと報じた。崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長は「条約の意義は色あせず、現国際情勢下で戦略的重要性は一層際立っている」と強調した。
中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官も7日、条約に関し「地域と世界平和の安定の維持に重要な貢献を果たしてきた」と説明した。劉暁明(りゅう・ぎょうめい)朝鮮半島問題特別代表は6日、米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表との電話会談で「米国は北朝鮮の正当な懸念の解決を重視すべきだ」と北朝鮮を擁護した。中国には北朝鮮情勢が〝対米カード〟になるとの計算があるようだ。
王毅(おう・き)国務委員兼外相は3日に北京で開かれたフォーラムの基調演説で、朝鮮半島問題は「中国の門前で起きることだ」とし、「中国は朝鮮半島の長期安定の実現まで建設的な役割を果たす」と意欲を示した。
中国の対北政策は米国をにらんだ色彩が強い。米中関係を打開する上で、米朝の〝仲介役〟として存在感を発揮できる機会を探っているもようだ。中国の朝鮮半島問題専門家は「北朝鮮にとっても対中政策は(滞った)対米関係を変化させることに主眼が置かれている」と分析し、相互依存関係にあるとの見方を示す。
貿易の9割以上を中国に頼る北朝鮮にとり、対中関係は死活にかかわる問題でもある。中国共産党創建100年の1日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、中国の習近平総書記(国家主席)に「両党は真の同志で戦友だ」と記した祝電を送り、「朝中親善を新たな戦略的な高みへと発展させる」と強調した。ただ、祝電や花籠を送っただけで、特使の派遣もなかった。
節目を重視する中朝にとって極めて異例の事態だ。新型コロナ対応で国境を封鎖し続けてきた北朝鮮は、自国外交官の出入国まで厳しく制限してきた。
正恩氏は6月の党中央委員会総会で「対話にも対決にも準備しなければならない」と言及し、米国や韓国では「対話再開のサイン」との見方が出た。だが、数日後に妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長や李善権(リ・ソングォン)外相が「誤った期待は自らを失望させる」「無意味な米国との接触を考えていない」と早期の対米交渉を否定する談話を発表した。国連制裁や新型コロナによる経済難への対応に翻弄され、外交どころではない事情もありそうだ。
正恩氏は6月末、コロナ対応に絡み、幹部らの怠慢で「重大事件」が起きたと叱責し、側近らを降格させる大幅な更迭人事を断行した。韓国の情報機関は、北朝鮮が4月に計画した国境開放が防疫施設の準備の不備でできなかったという情報を明らかにした。中朝間の本格的な交流再開が条約締結60年の節目前に間に合わなかった現状に対する正恩氏のいらだちが、背景にあった可能性もある。
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