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弾道ミサイルより防護服?北朝鮮「平和的」パレードの異変 - Newsweekjapan

<金正恩による演説も戦略兵器の登場もなしの「地味パレード」が映し出す厳しい国内事情>

韓国軍の関係者は、北朝鮮が9月9日未明に行った軍事パレードを注視していたと本誌に語った。金正恩が北朝鮮の最高指導者に就任してからまもなく10年。この間、北朝鮮と韓国は対立と緊張緩和を繰り返し、両国関係はいまだ不安定なままだ。

韓国国防省の報道官は「韓国軍は北朝鮮の軍事パレードを注意深く見守っている」と本誌に語った。「アメリカと協力の下、詳細な分析を行っているところだ」

在韓米軍も、このパレードに注目していた。在韓米軍の報道官であるリー・ピーターズ大佐は、本誌の取材に次のように語った。「北朝鮮が最近、軍事パレードを実施したことは認識している。我々としては、韓国をあらゆる脅威や敵対勢力から守るために、引き続き協力して防衛態勢を取っていく」

北朝鮮はこれまで幾度も軍事力を誇示してきたが、建国73周年を記念して9日未明に実施されたパレードは、異色と言えるものだった。最新型のミサイルや戦闘能力を誇示してきた過去の軍事パレードに比べて、かなり控えめな内容だったのだ。

軍用犬や防疫隊が行進

パレードは金正恩がバルコニーから見下ろす平壌の金日成広場で行われ、馬に乗った騎兵部隊、軍の捜索犬を伴った兵士たちや、新型コロナ対策様のオレンジ色の防を身につけた防疫隊などが隊列を組んで行進した。

ロケットをけん引していたのは、これまでのような軍用トラックではなく、北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信によれば、「非常事態に侵略者やその配下にある部隊を圧倒的な火力で砲撃するための兵器を積んだトラクター」だった。

複数の報道によれば、金正恩は演説しなかったが、「歓声をあげる熱狂的な市民に温かく応じていた」ということだ。

朝鮮中央通信は、最高指導者である金正恩を熱烈に称賛。「唯一無二の英雄であり、我が国が繁栄する新時代を体現し、その熱烈な愛情と自己犠牲の精神で国と国民に向き合い、国家第一主義の金正恩朝鮮労働党委員長に対して、パレードに参加した全員が、最大限の賛美と深い感謝の念を示した」と報じた。

金正恩体制がまもなく10年を迎える一方で、韓国の文在寅大統領は2022年5月に任期満了を迎える。そしてアメリカでは、ジョー・バイデン大統領が就任1年目にして、既に国内で複数の厄介な問題に、そして国外ではさらに差し迫った外交上の問題に直面しており、こうした状況を鑑みると、朝鮮半島は今後もしばらく不安定な状況が続きそうだ。

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