[マニラ 2日 ロイター] - フィリピンを訪問したオースティン米国防長官は2日にガルベス国防相と会談し、フィリピン国内で米軍が使用できる軍事拠点の新たに4カ所設定し9カ所とすることで合意したと発表した。南シナ海で海洋進出を続ける中国への抑止力を強化する。
米国とフィリピンは2014年に「防衛協力強化協定(EDCA)」を締結。これに基づき、米軍は共同訓練や装備配置、燃料貯蔵などのためにフィリピンの軍事拠点にアクセスできる。
米国は中国の台湾に対する動きをけん制するためフィリピンで安全保障上の選択肢を増やすことを望んでいる。現在利用可能な5カ所については、インフラ整備に8200万ドル以上を投じることにしている。
昨年11月のハリス副大統領に続きフィリピンを訪問したオースティン長官は、ガルベス国防相と同盟強化へのコミットメントを再確認。EDCAに基づく今回の合意を「ビックディール」とし、「われわれの同盟は両国の安全を高めるとともに、自由で開かれたインド太平洋の維持に資する」と述べた。
ガルベス氏との会談については「西フィリピン海(南シナ海)を含むフィリピン周辺海域での不穏な活動に対処する具体的行動について協議した。われわれは武力攻撃に抵抗するため相互の能力を強化する所存だ」と指摘。その上で「これは両国の同盟を近代化する取り組みの一部に過ぎない。中国が西フィリピン海で法的正当性のない主張を繰り広げており、こうした取り組みは特に重要だ」と説明した。
新たに利用可能になる4拠点の具体的場所は明らかにしていない。元フィリピン軍当局者は、米国がフィリピンから台湾に最も近いルソン島北部と南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に面するパラワン島の基地へのアクセスを求めていると指摘している。
オースティン氏はガルベス氏との会談に先立ちマルコス大統領とも会談し「可能な限りフィリピンを支援する用意がある」と伝えた。
マルコス氏は「フィリピンやアジア太平洋地域の将来には米国の関与が必要だと常に述べてきた」と説明し、米国との同盟関係なしでフィリピンの将来は考えられないと強調した。
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