<米軍の兵器を見せびらかすタリバンは、今やアフガン全土に見られる光景だ>
タリバンの一員と見られる人物が、米軍の軍用ヘリコプター「ブラックホーク」から吊り下げられて降下する様子を映した動画が拡散している。アフガニスタン南部の都市カンダハルを「パトロール中」のものだというこの映像は、再生回数が200万回を超えた。
この動画を8月29日にツイッターでシェアしたのは、アフガニスタン・イスラム首長国を自称するタリバンの公式ニュースアカウント「Talib Times」だ。映像では、アメリカ軍が残したUH-60ブラックホークと見られるヘリコプターから吊り下げられた男性の姿が確認できる。
動画には、「我々の空軍だ! これは、イスラム首長国の空軍ヘリコプターが、カンダハル上空を飛行しながらパトロールをしているところである」というキャプションが添えられている。
この動画は、内容について第三者の確認は取れていないが、複数のSNSユーザーによってシェアされている。
動画が投稿された8月29日は、アメリカ軍がアフガニスタンから完全撤退するとされていた日の前日だ。
戦争終結とともに
アメリカが先頭に立ってきた20年におよぶアフガニスタン戦争は、8月30日(米東部時間)に正式に終結した。アフガニスタンに滞在していたアメリカ人と、戦争中にアメリカに協力したアフガン人協力者を国外に退避させようとする混乱のなか、タリバン支配下にあるカブールの国際空港を、最後の米軍用機が飛び立った。
米大統領ジョー・バイデンは2021年4月に初めて、アフガニスタン駐留アメリカ軍を撤退させると発表した。その際に明言したのが、2021年9月11日までの完全撤退だ。国際テロ組織アルカイダがニューヨークのツインタワーを攻撃した2001年の米同時多発テロから、ちょうど20年目の日だ。
アメリカ軍が2001年にアフガニスタンに軍を派遣したのは、米同時多発テロの報復のためだった。その後アメリカ軍は、アルカイダと同盟関係にあったタリバンの排除に成功した。
だがアメリカ軍とその同盟国軍がアフガニスタンから引き上げるなか、タリバンはたちどころに全土を掌握し、首都も支配下に収めた。
タリバンは、アフガニスタンの実権を再び掌握した際に、アメリカ軍がアフガニスタン政府軍に提供した多数の武器や砲弾などを没収した。そのなかには、ブラックホークや全地形対応の軍用車両「ハンビー」も含まれている。SNSの写真や動画を見ると、8月半ばにはすでに、タリバン戦闘員が各地で武器などを見せびらかしている様子がわかる。
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