【リビウ(ウクライナ西部)、ワシントン=共同】ロシア軍の包囲攻撃が約1カ月続くウクライナ南東部マリウポリのボイチェンコ市長は28日、同市で死者が5千人近くに達したと述べた。ウクライナメディアが伝えた。原子力規制監督局は28日、東部ハリコフで核物質を扱う「物理技術研究所」をロシア軍が再び攻撃し、施設が「深刻な損傷」を受けたと発表した。
米側は、ロシア軍がマリウポリを含む東部ドンバス地域のウクライナ軍の孤立を図っていると分析。国の東西分断の動きとして懸念が出ている。オンライン形式で続いてきた停戦交渉は29日、トルコ・イスタンブールで対面形式で再開した。
物理技術研究所はロシア軍が度々攻撃してきた。攻撃中のため、被害の詳細は確認不能という。
ウクライナメディアによると、マリウポリの死者のうち210人は子どもだという。人口約43万人で、ボイチェンコ氏は市民の多くが退避したが、約17万人が市内にとどまっていると説明。市内の集合住宅の約90%が損傷しており、そのうちの約60%には砲弾などが直撃したと発表した。
米国防総省高官は、ドンバス地域でロシア軍が攻勢を強めていると指摘。ウクライナ軍をドンバスにくぎ付けにし、他の戦線の支援に回るのを阻止して「ドンバスの支配権を確立し、停戦交渉を有利に進めようとしている可能性がある」との見方を示した。キエフ周辺ではロシア軍の砲撃などが続いているものの地上軍の動きは見られない。
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