ロシア軍の侵攻が続くウクライナの北部にあるチェルノブイリ原発で、ロシア軍が9日、外部からの電力供給を切断した。ウクライナ国営電力会社ウクルエネルゴが発表した。施設全体に電力が全く供給されない状態になっているという。
同原発には使用済み核燃料の貯蔵施設がある。ウクルエネルゴは、燃料が冷却できなくなれば放射性物質が放出される恐れがあるとしている。これに対し、国際原子力機関(IAEA)は9日、電力供給なしでも熱を冷ますだけの十分な冷却水があるとの見解を示し、原発の安全性に「重大な影響はない」と指摘した。日本の原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は9日の定例会合で、同原発の使用済み核燃料について「(稼働を停止した)2000年から長期間たっており冷却は進んでいる」と述べている。
ウクルエネルゴは「(ロシア軍の)軍事行動が続いており電力供給の復旧作業ができない」としている。消火システムも作動せず、非常用のディーゼル発電設備はあるが燃料は48時間分だけという。同原発で働く職員が住むスラブチチの街全体も停電した。ウクライナのクレバ外相は9日、ロシアに対し、軍事行動をやめるよう呼びかけた。
またIAEAによると、同原発の監視システムのデータ送信が8日、停止した。
チェルノブイリ原発は全4基。1986年に爆発事故が発生した4号機は「石棺」と呼ばれるコンクリートで固められ、さらにかまぼこ状の鋼鉄製シェルターで覆われている。日本の原子力規制委によると、残りの1~3号機は2000年までに稼働を停止。16年までに使用済み核燃料を取り出して貯蔵施設で冷却していた。
ロシア軍は2月24日にウクライナ侵攻を開始し、同日、チェルノブイリ原発を武力で制圧した。さらに南東部のザポロジエ原発を3月4日に制圧した。この際、原発内で交戦があり、施設内の建物で火災が発生した。
一方、激戦地から住民を避難させるルート「人道回廊」の設置による脱出は9日も続いた。英国防省などによると、露軍は同日も首都キエフの北郊を攻撃したがウクライナ軍に前進を阻まれた。露軍は北東部ハリコフや南東部マリウポリなどを包囲し激しい攻撃を続けた。【杉尾直哉、林哲平、岡田英】
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