方法や条件には言及せず
【北京=羽田野主】中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は7日に記者会見し、ロシアのウクライナ侵攻を巡り「必要な時に国際社会とともに必要な仲裁をしたい」と述べるにとどめた。具体的な方法や条件には言及しなかった。ウクライナが中国の仲裁を求めているが、直接の関与には慎重な姿勢をみせた。
王氏は5日にブリンケン米国務長官との電話協議で、米国や北大西洋条約機構(NATO)などとロシアの対話を「奨励する」と提案したばかり。ロシアとウクライナの交渉も必要だとの認識を示した。当事者同士の話し合いを促し、中国に責任が及ばない方法を検討しているとみられる。
防衛研究所米欧ロシア研究室長の飯田将史氏は「ロシアのプーチン大統領に譲歩する姿勢はみえず、中国が実際に仲介するのは困難だ。当事国それぞれに対話を呼びかけて仲介の場を提供しているようにみせるのではないか」と指摘する。
中国は今年秋に共産党幹部の人事を決める5年に1度の党大会があり、幹部の大幅な入れ替わりが予想される。王氏自身にも交代の観測がくすぶるうえに、仲裁に失敗すれば習指導部のメンツが傷つきかねないという事情もある。
王氏は「中ロ関係は世界でもっともカギを握る2国間関係のひとつだ」と語り、ロシアとの経済や軍事を巡る緊密な連携を維持する考えを示した。中国にとって国際社会のロシアへの猛烈な反発は悩ましい問題だが、米国との長期対立をにらみ連携が欠かせない構図は変わらない。
ロシアのウクライナ侵攻を批判せず、今回もあいまいな態度に終始した。米欧のロシアへの経済制裁に関しても「火に油を注ぎ、矛盾を激化させるのはやめるべきだ」と主張し、反対する考えを強調した。ロシアの天然ガスなどエネルギーや農産品を積極的に輸入し、ロシア経済の支援を続けるとみられる。
バイデン米政権には台湾問題への介入などを念頭に「いつも中国の核心的利益を攻撃して挑発している」と強い言葉で批判した。米国のインド太平洋戦略も「NATOのインド太平洋版で、米国の覇権を維持するのが真の目的だ」と強い警戒をみせた。
日本に対して台湾問題を巡る言動が日中関係に「深刻な打撃」を与えないように「忠告する」と発言した。習指導部は米国の台湾問題への関与に日本が協力する事態を警戒しており「火中の栗を拾うな」と語った。
王氏は開幕中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせて記者会見した。
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