◆圧倒的賛成多数
決議はロシアの即時無条件撤退やウクライナの領土保全を求めるもので、141カ国の圧倒的な賛成で採択された。反対はロシアなど5カ国のみ。中国など35カ国が棄権し、12カ国は無投票だった。
シャーランド氏は「国際社会の総意を示す重要な進展だった。反対がわずか5カ国で、中国などロシアと緊密な関係にある国の多くがロシアを支持しなかった意味は大きい」と強調。米欧などと中国が問題解決へ協力できる余地が生まれた可能性があるとの見方を示した。
「ロシアが安全保障理事会で同様の決議案に拒否権を使ったことで国連は機能しないという見方もあるが、そうではない」
◆法的拘束力はないが動きも
ただ、総会決議は安保理決議と違い、法的拘束力を持たない。プーチン大統領は先月下旬の安保理会合中に侵攻を始めるなど、国連を尊重する姿勢はない。
シャーランド氏は「確かに総会決議は直接ロシアの侵攻を止めることはできない。ただ、決議は国連緊急援助調整官に人道状況を報告するよう求めるなど具体的な動きも伴っている」と指摘。
◆「国連、国際システムの重要性に光」
「安保理ではフランスなどが人道問題に関して決議案を提出しようとしており、そこにロシアをどう巻き込むか注目される」と述べ、人道面からロシアに圧力をかけることも可能との見方を示した。
今回の緊急特別会合では120以上の加盟国やオブザーバーの代表が演説した。シャーランド氏は「紛争の影響を直接受けない多くの中小国も声を大きく上げたのが興味深かった」と指摘。
ロシアの侵攻が、自国の軍事力だけでは領土を守れない国々の危機感を高め、「国連や国際システムの重要性に光が当たった」と述べた。
リサ・シャーランド 2009~14年にオーストラリア国連代表部で防衛政策に関するアドバイザーを務め、安全保障理事会や総会での活動に参加。民間人保護や過激主義防止、女性問題にも詳しい。豪シドニー大で国際研究の修士号取得。39歳。
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