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G7、ロシア産石油に価格上限案 戦費調達の抑制狙う(写真=ロイター) - 日本経済新聞

【エルマウ(独南部)=南毅郎】26日開幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、ロシア産石油の取引価格に上限を設ける案が浮上していることがわかった。G7はウクライナに侵攻したロシアに経済制裁を科すが、石油価格の高騰もありロシアの外貨獲得は続いている。価格上限の設定が実現すれば、ロシアの戦費調達の抑制につながる可能性がある。

米ブルームバーグ通信によると、石油タンカーの船舶保険や輸送の制限を通じて価格に上限を設ける案が議論されている。取引価格を一定水準以下に抑えることを、船舶保険の利用条件とする案が浮上している。イエレン米財務長官は米国と同盟国が石油価格を抑える協議を進めていると明らかにしていた。

欧州連合(EU)のミシェル大統領は26日、G7サミットの開幕に先立つ記者会見で「詳細について議論し、決定をくだす準備ができている」との見方を示した。一方で「ロシアを標的にするのが目的であり、我々の生活を困難かつ複雑にするものではないか確認する必要がある」とも指摘した。ブルームバーグによると、G7サミット期間中に上限価格の水準など詳細まで詰められるかは不明という。

ロシアのウクライナ侵攻が長期化するなか、G7による制裁の実効性確保が急務になっている。フィンランドのシンクタンクCREAによると、ロシアがエネルギー輸出で稼いだ収入は2月下旬の侵攻開始から100日間で930億ユーロ(約13兆円)に達したもようだ。経済制裁で資源輸出量が減るなど一定の効果を発揮したものの、供給不安に伴う値上がりでロシアは外貨を稼ぎ続けている。

今回のG7サミットでは、インドやインドネシアなど新興国の首脳も招待された。ロシアへの制裁の包囲網を狭めるにはG7以外の国々との連携が欠かせず、28日にまとめる首脳宣言に向けて協議を続ける予定だ。

開幕初日の26日は世界経済の課題をめぐり集中協議した。新興国を中心にインフレが直撃するなか、G7各国が協調して取り組む方針を確認した。ドイツのショルツ首相は「一部の国では景気減速や物価高、原材料の不足、物流網の混乱が起きている」と指摘し「G7は直面する危機を懸念している」と述べた。

ドイツやフランスを含むユーロ圏の5月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比の伸び率が8.1%と過去最高を更新した。制裁の実効性確保とインフレ抑制をいかに両立させるかが大きな課題になっている。

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