
CNNの政治コメンテーターで黒人のヴァン・ジョーンズ氏の言葉が今でも忘れられない。「『息ができない』。それはジョージ・フロイドだけのことではなかった。多くの人が息ができないと感じていた」と、涙を流しながら語っていた。彼の言葉に、昨年5月から6月にかけて行われたブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切だ)の抗議運動で、「私たちを殺すのをやめてくれ」と必死に叫ぶ人たちの表情が鮮明によみがえった。呼び戻されるかのように、私は抗議デモの中心地、ホワイトハウスのすぐ北にある「ブラック・ライブズ・マター・プラザ」へ猛ダッシュした。 いつものように機材と脚立を抱え外に出ると、連打される車のクラクションと波のような人々の歓声が耳に飛び込んできた。新型コロナの影響ですっかり交通量が減った首都に突然大勢の市民が繰り出し、道は人々と車でみるみる埋め尽くされた。渋滞で動かない車内の人たちまでもが笑顔に満ちていた。歓喜のクラクションが鳴るたびに、歩行者や自転車に乗った人がそれに応えるように歓声をあげる。町中が一体となりバイデン氏の当選を祝福していた。 11月だというのに夏のような日差しと快晴の空の下、徒歩10分で広場に着く頃には汗だくになっていた。昨年6月1日、トランプ大統領が教会前で写真撮影をするために抗議デモの参加者たちを催涙ガスとゴム弾で追い払ったのがまさにこの場所だった。この日はシャンパンの雨と歓声に替わっていた。米国では屋外の飲酒が禁止されているが、現場の警官はこの日ばかりは見て見ぬふり。時折空から降ってくるビールやシャンパンを浴びながら、5カ月前とはまるで違う人々の表情に吸い込まれるようにシャッターを切り続けた。 「祝福」という言葉が詰まったマドンナの「ホリデー」という曲がかかると、カラオケ大会とダンスパーティーが同時に始まった。ホワイトハウスを囲うフェンスには「トランプ、お前はクビだ!」と書かれたプラカードが大きく掲げられ、トランプを赤ちゃんのキャラクターにした風船がフワフワと上空に浮かんでいた。その下には、おしゃぶりを吸うトランプの顔や、「負け犬」、「ゲームオーバー」などと書かれたプラカードを手にする人が目立った。スーパーヒーローのコスチュームを着た男性が、トランプ大統領のお面を付け地面に倒れた人を踏みつけるパフォーマンスも。 6月の抗議デモにも参加した、連邦政府職員の黒人女性アニタ・ジョーダンさんは「トランプ大統領は、人を人として扱う思いやりよりも自己の利益を優先させた。バイデン新大統領の誕生が全ての問題を解決することなどできないし、人種差別を取り除くにはとてつもない時間を要する。だが少なくともこの勝利は、差別主義者の居場所はないという明白なメッセージを伝えた」と語った。
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