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トランプ氏、「元大統領法」の特典を享受か 不要論で法改正の可能性も - livedoor

Jan Wolfe

[27日 ロイター] - 1月6日の連邦議会議事堂襲撃を煽動した責任を問うドナルド・トランプ前大統領に対する弾劾手続を機に、大統領経験者に与えられる待遇の一部を失う可能性があるのではないかとの観測がネットで広がっている。

だが法律専門家によれば、現行法のもとでは、仮に弾劾が成立した場合でも、年金やオフィススペース、身辺警護などトランプ氏に与えられる特典はそのまま維持されるという。

トランプ氏は、比較的曖昧さの残る「元大統領法」に助けられることになりそうだ。

<「元大統領法」とは>

1958年に成立した法律で、元大統領に対して生涯にわたる特典を与えるものだ。特典の内容は、「適切なオフィススペース」、シークレットサービスによる身辺警護、年間約10万ドル(約1042万円)のスタッフ人件費補助、現在約22万ドル相当の年金などである。

この法律は、1953年に退任したハリー・トルーマン元大統領が、大統領就任前の新規事業の失敗で債務に苦しんでいたことから、同氏を金銭的に救済する目的で可決された。

トランプ氏の場合、これらの特典の価値は合計で年間100万ドルを超える可能性がある。政府支出を監視している全米納税者連合基金の報告書によれば、米国の納税者は、存命の元大統領4人に特典を提供するために毎年約400万ドルを費やしているという。

この報告書によれば、最も価値の高い特典はオフィススペースで、2020年、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ元大統領は、国費負担のオフィス賃料としてそれぞれ50万ドル以上を受け取っている。

<大統領が特典を剥奪されることはあるか>

ある。ただし、ミシガン州立大学のブライアン・カルト教授(法学)によれば、大統領の任期中に解任された場合に限られる。下院による弾劾訴追決議だけでは、この特典への影響はない。

多くの連邦議会議員や著名人が、退任の迫ったトランプ氏の解任を求めたが、同氏はその運命を免れた。したがって、退任後の特典は安泰である。

ただし、安心はできない。法律はいつ改正されるか分からないからだ。現代の大統領は高収入を得る機会に恵まれており、退任後も公的な支援は必要ないとして、「元大統領法」は不必要なコストを生んでいるという主張もある。

2016年、議会共和党は元大統領のための支援予算に制限を設ける法案を可決した。2期目の終わりが近づいていたオバマ氏は、この法案に対し拒否権を行使した。改革の必要性については同意するが、この法案は、元大統領らのオフィスに対して「面倒で不合理な負担」を強いている、というのが理由だった。

連邦議会が「元大統領法」を改革する場合、トランプ氏だけが標的にならないような形で進めるべきだ、とカルト教授は言う。そのような法改正は不当な「私権剥奪法」、つまり特定の個人に不利な立法行為と見なされるからである。

<トランプ氏のオフィスの場所は誰が決めるのか>

法律では、トランプ氏が自分のオフィスの場所を選べることになっている、とカルト教授は言う。もしトランプ氏が、トランプ・グループ系列の物件内にオフィスを構えるとすれば、納税者は実質的に、トランプ氏が既に所有している不動産の賃料を負担することになる。

オフィスに適切な備品を提供するのは、連邦政府機関である一般調達局になるだろう。

トランプ氏は1月20日、バイデン氏の就任式典の数時間前にワシントンを離れ、フロリダ州パームビーチに所有するリゾート施設「マールアラーゴ」に向かった。

1月25日の声明のなかでトランプ氏は、「元大統領オフィス」の開設を発表した。オフィスは「マールアラーゴ」にある同氏の住居内で、スタッフは敷地内の別のビルで執務する。

<機密情報ブリーフィングはどうなるか>

民主党内部では、近年、元大統領に提供されている特典の1つをトランプ氏に与えるべきではないとする声が高まっている。すなわち、情報当局によるブリーフィングと、機密情報へのアクセスだ。

下院情報委員会の委員長を務めるアダム・シフ下院議員は1月17日、CBSによるインタビューの中で「トランプ元大統領がまた情報当局によるブリーフィングを受けるべき状況はまったく存在しない」と述べた。「彼に機密情報を託しうるとは考えられない」

他の特典と異なり、これは慣例的なものであって、法による定めはない。ジョー・バイデン大統領は、トランプ氏を情報当局によるブリーフィングの対象から外すことを一方的に決定できる。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は1月22日、記者団に対し、この判断をめぐってバイデン大統領は情報コミュニティの専門家と協議することになる、と語った。

(翻訳:エァクレーレン)

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