2021年02月01日07時02分
ロシアでデモの遠因となった昨年8月の反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(拘束中)に対する毒殺未遂事件。同氏らが「殺人犯」と指摘する連邦保安局(FSB)の化学兵器専門グループが、過去にも活動家や記者ら3人を尾行し、変死事件に関与した疑いが浮上している。
英調査報道機関ベリングキャットなどが、工作員らの移動記録を調査して1月27日付の報告書で明らかにしたもので、プーチン政権に不都合な活動家らを恒常的に狙っていた可能性がある。ベリングキャットは昨年12月、ナワリヌイ氏を尾行していた8人の氏名と顔写真を公表した。
報告書によると、変死したのは南部カバルジノ・バルカル共和国の記者(2014年夏)、南部ダゲスタン共和国の少数民族活動家(15年3月)、モスクワの活動家(19年11月)。南部の2人の死因は表向き「心不全」と説明されたが、記者は脇、少数民族活動家は首に注射されたような痕があったという。
3人目の活動家はプーチン政権派。地方都市から鉄道で9時間かけてモスクワに戻る途中、体調が悪化し「毒を盛られた」と言い残して倒れた。ロシアの独立系メディアは「対外情報庁(SVR)協力者だったが(家族の海外移住計画で)裏切り者とされた可能性がある」と伝えた。
報告書の移動記録によれば、工作員らは、3人の変死当時に現場近くにいたり、事件から数カ月前に列車に同乗したりしていたという。
ベリングキャットは今回の調査について「FSBの化学兵器専門グループが、単なる政治的脅迫の手段ではなく、国家規模の暗殺組織であるというさらなる証拠だ」と結論付けている。
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