岸田文雄首相が21日夜のバイデン米大統領とのテレビ会議形式の会談で探りたいのは、対面会談実現に向けた糸口だ。首相は昨年の就任以降、早期訪米に意欲を燃やしてきたが、米国の国内事情や新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染拡大に阻まれてきた。中国が覇権主義的な動きを強め、北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返す中、日本の首相が米大統領と対面会談し、良好な関係を示すことは外交・安全保障の基盤となるだけに、首相は模索を続けている。
「できるだけ早めの対面会談につなげたい」。首相は会談前、周囲にこう語っていた。連続在任で戦後最長の外相を務め、ホワイトハウスにも知己が多い首相がとりわけ重きを置いてきたのが早期訪米の実現だ。
バイデン氏は大型歳出法案をめぐる党内対立を抱え、当初から調整の難航が予想されたが、追い打ちをかけたのが日米双方でのオミクロン株の拡大だ。「これだけの事態になってしまっている。正直厳しい」。首相は昨年末、こう漏らした。ホワイトハウスもバイデン氏への感染に神経をとがらせているとされる。
日本の首相は就任から2カ月程度で米大統領と対面会談するのが一般的とされる。昭和57年11月に就任した中曽根康弘首相は58年1月にレーガン大統領と会談。貿易摩擦などで悪化していた日米関係を改善した。平成13年4月就任の小泉純一郎首相も6月に大統領別荘「キャンプデービッド」でブッシュ大統領と会談後、キャッチボールを行い、蜜月をアピールした。
安定した日米関係の構築には首脳同士の個人的な関係が欠かせない。外務省幹部は「歴代の首相も米大統領と早期に会うことにこだわってきた」と語る。安倍晋三首相は28年11月、大統領選に勝利した直後のトランプ氏を訪問し、「かつてないほど強固」とされる日米関係につなげた。
バイデン氏は国内だけでなく、ウクライナ危機をめぐるロシアへの対応や米中対立などの課題も抱え、それらが深刻化すれば日米首脳会談の優先度が落ちかねない。日米首脳の対面会談が実現しない状況が続けば中国などに誤ったメッセージを与える恐れもある。岸田首相は今後も対面会談の機会をうかがう構えだ。(永原慎吾)
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