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ロシア雇い兵組織「ワグネル」の元指揮官、ノルウェーに亡命申請 ウクライナで実態見て - BBCニュース

The Wagner Group offices in St Petersburg

画像提供, Reuters

ロシアの民間雇い兵組織「ワグネル・グループ」の元指揮官の男性が、ロシアとの陸路国境を越えてノルウェーに入り、亡命申請をしたことが16日、明らかになった。

ノルウェーへの亡命を申請したのはワグネルの元指揮官アンドレイ・メドベージェフ氏(26)。13日に越境し、ノルウェーの国境警備隊に拘束されたという。

メドベージェフ氏の弁護士ブリュンユルフ・リスネス氏はBBCに対し、メドベージェフ氏は不法入国容疑でオスロ地域で拘束されていると語った。

メドベージェフ氏はウクライナでの戦争犯罪を目の当たりにし、ワグネルを離れたのだと、同弁護士は述べた。

ノルウェーの国境警備隊はBBCに対し、全長198キロにわたるロシアとの国境を越えてノルウェーに入ったロシア人男性1人を拘束していることを認めた。「安全とプライバシーの理由から」これ以上のコメントは控えるとした。

ノルウェー北部フィンマルクの警察本部長は、男性1人が国境警備隊に拘束され、亡命を申請していると語った。

ロシアの人権団体「Gulagu」はこの男性はメドベージェフ氏だと認めた。同団体はメドベージェフ氏の出国を支援したという。

ワグネルのメンバーが西側諸国に逃れたのは今回が初めてとみられる。

「戦争犯罪を目撃」

Gulaguの創設者ウラジーミル・オセチキン氏はBBCに対し、メドベージェフ氏は2022年7月に4カ月契約でワグネルに加わったが、ウクライナでの職務中に多数の人権侵害と戦争犯罪を目撃して脱走したと語った。

オセチキン氏によると、メドベージェフ氏はロシア軍の元兵士で、2017年から2018年にかけて刑務所に服役した。ワグネルに加わると、ウクライナに投入された部隊の責任者となった。部隊には毎週約30~40人が追加投入されていたという。

メドベージェフ氏はGulaguがソーシャルメディア・チャンネルに投稿した動画の中で、自分との契約を無期限に延長する方針をワグネル側から知らされ、昨年11月にウクライナから逃れたと語った。

ロシアで2カ月間、地下で過ごし、先週にノルウェーに入ったという。

メドベージェフ氏はウクライナでの戦闘で、ワグネルの内部保安サービスによる「脱走兵の処刑」など多数の戦争犯罪を目撃したと、リスネス弁護士は説明。

「要するに彼(メドベージェフ氏)は裏切られたと感じ、一刻も早く去りたいと思った」のだとした。

さらに、メドベージェフ氏が戦争犯罪の証拠をノルウェーに持って行ったと考えているとし、今後数週間のうちに戦争犯罪を調査する複数グループと情報を共有するつもりだと付け加えた。

ワグネルの主張

ワグネル創設者エフゲニー・プリゴジン氏は、メドベージェフ氏がワグネルの元兵士だと認めた。

しかし、同団体は報道機関向けの発表で、メドベージェフ氏はノルウェーの市民権を持ち、ノルウェー出身の兵士の大隊を率いたことがあるとした。

プリゴジン氏はまた、メドベージェフ氏について「捕虜を不当に扱った」と非難し、「非常に危険」な人物だとした。

メドベージェフの弁護士リスネス氏は、プリゴジン氏のこうした主張は事実ではないとBBCに語った。

イギリスの当局者は、ウクライナに投入されたロシア側の勢力の約10%をワグネルが構成しており、先週にロシア軍がウクライナ東部ドンバス地方の町ソレダルを制圧するのに重要な役割を果たしたとみている。

ワグネルの雇い兵の数は、ウクライナ侵攻前は数千人ほどだった。そのほとんどはロシアのエリート連隊や特殊部隊の出身者など、経験豊富な元兵士と考えられていた。

ワグネルは2015年以降、シリアやリビア、マリ、中央アフリカ共和国に部隊を展開してきたとされる。

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