ロシアの民間軍事会社「ワグネル」がウクライナで残虐行為を繰り返しているとして、国際社会から非難を浴びている。
露実業家のプリゴジン氏が2014年に創設し、中東やアフリカの紛争地でも活動してきた。
元兵士を雇い入れてきたほか、刑務所で高額報酬など有利な条件を提示して受刑者をリクルートしている。今では戦闘員約5万人のうち8割が受刑者とされる。
ウクライナ東部のドネツク州ソレダルを陥落させ、露国防省から「ワグネル志願兵の行動で制圧に成功した」とたたえられた。
ウクライナ政府によると、首都キーウ(キエフ)郊外ブチャでの大量殺害にも関与した。ノルウェーに逃げたワグネルの元指揮官も組織の残虐性を証言している。
米政府は「残虐行為と人権侵害を続けている」として国際犯罪組織に指定した。欧州諸国でも批判が高まっている。北朝鮮から武器を提供されたとの指摘もある。
民間軍事会社は冷戦終結後、兵員の削減を補うため、米欧などで設立が相次いだ。メンバーの多くは武器の扱いに慣れた元兵士だ。
2003年からのイラク戦争では、米軍事会社の警備員が市民を殺害し国際的な問題となった。
米欧の軍事会社が、要人警護や物資輸送など後方支援に携わっているのに対し、ワグネルは実際の戦闘に参加している。
国際人道法では、正規軍の兵士が民間人を殺害した場合、兵士だけでなく、命令を下した上司や派遣国の責任が問われる。
一方、民間軍事会社の行為については想定されておらず、国は責任がないと主張する余地がある。
ロシアは法律で民兵組織を禁じ、ワグネルについても公式には軍事組織と認めていない。政府や軍の幹部が自分たちに責任が及ぶのを避けるため、隠れみのに利用しているとも指摘されている。
プリゴジン氏はかつて、露大統領府の食事サービスを請け負うなど、プーチン大統領と関係が深いとされている。
ロシアが侵攻して始まった戦争だ。受刑者が参加していることからも、当局者の関与は否定できない。ワグネルの残虐行為に関しては、プーチン政権が責任を負わなければならない。
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