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ウクライナ正教会が旧モスクワ系聖堂でミサ 宗教の「脱露」象徴 - 産経ニュース

7日、ウクライナ・キーウのペチェールスカヤ大修道院は信徒で埋まった(佐藤貴生撮影)

【キーウ=佐藤貴生】ウクライナ正教会は東方正教会のクリスマスに当たる7日、ロシアの支配下にあったことで知られる首都キーウ(キエフ)の有名な修道院でミサを行った。ロシアの侵攻を受け、ウクライナのゼレンスキー政権が修道院の管轄権をロシア正教会から国家に移管する法的手続きを完了し、ミサが実現した。訪れた信徒は一様に、「歴史的な出来事だ」と喜びを語った。

ミサが行われたのはペチェールスカヤ大修道院にある聖堂。粉雪が舞う氷点下の寒さにもかかわらず、聖堂内は7日朝には数百人の信徒でぎっしり埋まった。

ウクライナのメディアによると、ウクライナ正教会トップのエピファニー総主教はミサで、「ロシアの邪悪な精神は(修道院から)姿を消した」とし、「力を合わせれば、宗教面でのロシアの侵略に抵抗できる」と述べて信徒の団結を呼びかけた。

参加した歴史学者のマリアさん(56)は、「修道院は300年以上、露正教会に支配されてきた。きょうはウクライナ正教会が本当の意味で独立する日だ」と笑顔で話した。

1686年に露正教会の支配下に入ったウクライナ正教会はソ連崩壊後、露正教会の権威に従うモスクワ系と、それに反対するキーウ系などに分裂した。

2018年には東方正教会の筆頭権威、コンスタンチノープル総主教庁(トルコ・イスタンブール)が1686年の決定を破棄、ウクライナ正教会の露正教会からの独立が認められた。

しかし、ウクライナ国内にはモスクワ系が残存しており、親露的なプロパガンダ(政治宣伝)を行っているとみたゼレンスキー政権が活動停止に向けた動きを進めてきた。大修道院の管轄権移管はその一環だ。

ミサには軍服姿の人も参加していた。ウクライナ軍の衛生兵、ディアチェンコさん(50)は、「ロシアでは情報機関と正教会は密接な関係にある。露正教会に近い組織が国内に残っていれば、ウクライナにとって治安上の脅威となる」とし、モスクワ系は国内から一掃すべきだという考えを示した。

7日のミサは、露侵攻を受けてウクライナで進む「脱露」の動きの一つといえる。他にもロシア・ソ連にまつわる広場や通りの改称が進み、ウクライナ語を学ぶ国民が増えるといった現象が表れている。

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