テロや暴動を警戒し、異例の警備態勢
ジョー・バイデン氏が第46代アメリカ大統領となる就任式が、現地時間の1月20日(日本時間の21日)に迫った。
今月6日の連邦議会議事堂の襲撃を受け、全米各州では警備が強化され、就任式が行われる首都ワシントンD.Cには2万人規模(最大2万5000人)の州兵が動員されるなど、デモや暴動に備え、最高レベルの警戒態勢が敷かれている。
この2万人超えの数がどのくらいの規模かというと、アフガニスタンとイラクに駐在する米軍が現在5000人ほどで、その4倍以上。在日米軍数は5万4000人弱なので、その半分〜3分の1がワシントンD.C.に配備されるということになる。
過去の就任式と比べても、今年の州兵の数は格段に多い。
オバマ氏(2009年)1万人
オバマ氏(2013年)6000人
トランプ氏(2017年)8000人

新大統領の就任&宣誓式は正午(日本時間の21日午前2時)から、連邦議会議事堂の一部であるルーフバルコニーで行われる。つまりこの時間をもって新たな大統領が誕生し、前大統領は任務終了となる。今年は新型コロナの感染拡大に加えて暴動への警戒が再び高まっているため、就任式の規模は大幅に縮小される。
議事堂前や国立公園ナショナル・モール、および周辺道路や一部の橋は閉鎖されるため、一般の人々がいつものように議事堂前で就任式を見守ることはできない。周辺の駅や博物館などもクローズする。

(アダムズ元大統領などの例は除き)通常であれば退任する大統領も同席するが、トランプ氏は就任式に出席しないと表明しており、20日朝にワシントンを出発しメリーランド州の空軍基地での送別会に出席後、フロリダ州にある別荘マー・ア・ラゴへ移動する予定が伝えられている。
FBIは、全米50州の州議会議事堂でもデモが起こる恐れがあるとして、全米中で警戒を呼びかけている。
豆知識:大統領就任式の歴史
首都としてのワシントンD.C.はまだ存在していなかったため、初の就任式(ジョージ・ワシントン初代大統領、1789年4月30日)はニューヨークのフェデラルホールで行われた。
第2代ジョン・アダムズ大統領はフィラデルフィアで、第3代トーマス・ジェファーソン大統領からワシントンD.C.で行われるようになった。
ケネディ大統領が暗殺されて第36代大統領となったリンドン・ジョンソン氏が、テキサスからの帰りの機内で就任宣誓を行った例もある。
- 就任式直前のブリーフィングを我々記者団に開いてくれた政治学者である、ジョージ・ワシントン大学の准教授および政治管理研究科ディレクター、ララ・ブラウン博士談(Lara M. Brown, Ph.D.)

(リンカーン大統領就任時も警戒レベルが最大だった)
奴隷解放の父、エイブラハム・リンカーン第16代大統領の最初の就任式(1861年3月4日)では、ワシントンD.C.の議事堂前に3万人もの群衆が集まり、アフリカ系アメリカ人の姿も多かった。
ただし南部では新大統領の政策への反対者も多く、選挙の勝利確定後、リンカーン氏に対して誘拐計画や殺人予告が出るなどし、就任式の警戒レベルが引き上げられた。就任式から1ヵ月後、4月12日に南北戦争が始まり、翌年9月に奴隷解放宣言。1864年の選挙で再選を果たし翌年3月に2度目の就任演説を行ったが、その6週間後に暗殺され亡くなった。
出典:ワシントンポスト紙「Lincoln’s first inauguration met with threats of kidnapping, killing and militias」

大統領任期最短は、第9代のウィリアム・ハリソン氏。1841年、就任からわずか32日後に病死した。「就任演説の最中に肺炎にかかったとされている。通常寒い日が多く、それ以来演説はコンパクトになった」。(ブラウン博士)
20日の就任式スケジュール
就任式の当日のスケジュールを紹介する。
前述のように、正午から就任式が始まる。この中で新大統領が宣誓し、演説を行う。
毎回のごとく団結の呼びかけがテーマとなる。「通常この時期はまだ両党共に感情的ではあるが、この演説により反対派のパルチザンの批判が控えめになり、新大統領の支持率が上がることも事実」。(ブラウン博士)
また、プロ歌手による米国歌も披露される。今年の国歌斉唱はレディー・ガガが選ばれた。

就任式の後、通常はパレードが行われるが、今年は新型コロナの影響で中止。その代わり今年は全米のヒーロー(医療関係者、エッセンシャルワーカー、兵士など)や人々をつなぐ「バーチャルパレード」が、午後3時(日本時間の21日午前5時)ごろからオンエアとなる。そのころ、バイデン氏はホワイトハウス入りする。
日が暮れると、通常であれば華やかな就任舞踏会が開催される。しかし今回は趣向を変え、午後8時30分(日本時間の21日午前10時30分)から90分間、全米の“ヒーロー”にスポットライトをあてた特別番組「セレブレーティング・アメリカ」が放送される。
司会がトム・ハンクス。ほかにジョン・ボン・ジョヴィ、ジャスティン・ティンバーレイク&アント・クレモンズ、デミ・ロヴァート、エヴァ・ロンゴリア、ケリー・ワシントンなど豪華メンバーが出演予定。
通常は就任舞踏会でのファーストダンスは目玉だ。アメリカでは、結婚式など祝いの場で欠かせない大切な伝統の1つ。就任式の夜は和やかな空気の中で新大統領夫妻が披露する社交ダンスを見て、これから迎える4年間に思いを馳せ、幸せや団結、新たな決意を感じるもの。これがない就任式は物足りない気もするが、「ファーストダンスも事前に録画されたもの、もしくは当日人の少ない室内で踊るなど何らかの映像を公開する可能性は十分考えられる」。(ブラウン博士)
ブルース・スプリングスティーン、フー・ファイターズ、ジョン・レジェンド、ジェニファー・ロペス&アレックス・ロドリゲス、ガース・ブルックスなども、就任式当日のゲストとしてラインナップされているが、詳細は明らかになっていない。

ライブで観る方法
今年の就任式は自宅での視聴が推奨されており、1日を通してライブストリーミングがメインとなる。
現地時間の20日午前9時(日本時間の午後11時)より、全米の主要放送局で放送が開始する。ホワイトハウスの公式ウェブサイト、バイデン就任委員会の関連のFacebook、YouTube、Twitter、Twitch、Amazonプライム・ビデオ、Bingなどでライブ配信される。(地域によって多少異なる)
日本からも大部分をリアルタイムで観られるだろうから、アメリカ史に深く刻まれるであろう異例ずくめの今年の就任式を、ぜひ見守ってみてはいかがだろうか。
(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止
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