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【主張】露反体制派拘束 抑圧は反発と孤立を招く - 産経ニュース

 猛毒の神経剤で襲撃され、ドイツで治療を受けていたロシアの反体制派指導者、ナワリヌイ氏が帰国直後の空港で司法当局に拘束された。

 あまりに露骨な政敵排除であり、国際社会から非難の声が上がっているのは当然だ。プーチン露政権は即座に釈放して自由な政治参加を認めねばならない。その自信がないのなら政権を担う資格はない。

 ナワリヌイ氏は昨年8月、露国内で旧ソ連開発の神経剤「ノビチョク」系の毒物によって殺害されかけた。欧州連合(EU)や英国は、プーチン政権がこの毒殺未遂事件に関与したとみて露高官らに制裁を発動した。

 露当局は、事件を捜査しないばかりか、過去の政治的裁判での執行猶予判決を持ち出して今回の拘束を強行した。当局はナワリヌイ氏を他の事件でも訴追しており、拘束は長期化する恐れがある。

 バイデン米大統領のサリバン補佐官は「人権侵害であるのみならず、声を聞いてもらいたいと願っているロシア国民への侮辱だ」と拘束を非難した。ポンペオ前米国務長官やミシェルEU大統領らも相次いで即時釈放を求めた。

 プーチン政権がナワリヌイ氏排除に躍起なのは、それだけ反体制派を脅威だと感じているためだ。ロシアでは、長引く経済低迷や公職者の腐敗、過度の中央集権などに対する国民の不満が蓄積している。9月には下院選が予定され、与党の苦戦と政権基盤の弱体化が予想されている。

 しかし、プーチン政権が悟るべきは、抑圧を強めればそれだけ反政権運動が先鋭化し、国際的孤立も深まるという現実だ。

 ナワリヌイ氏の陣営は拘束に抗議し、露南部の黒海沿岸にプーチン大統領の「宮殿」が存在するとインターネット上の動画で告発した。建設費は推定1千億ルーブル(約1400億円)以上、敷地面積は「モナコ公国の約39倍にあたる7800ヘクタール」で、プーチン氏の「汚職の実態」だとしている。23日にはモスクワなど各地で釈放を求める大規模デモが行われた。

 プーチン政権は反体制派を公正な選挙に参加させ、政治の舞台で堂々と戦うべきだ。30年前のソ連崩壊も1917年のロシア革命も、長期の圧政に対する国民の不満が暴発する形で起きた。民主主義の軌道に立ち返ることが激震を防ぐ唯一の方法である。

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