
(ブルームバーグ): 中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発した新型コロナウイルスのワクチンは、インドネシアのジョコ大統領が13日に受け取る様子がテレビ中継され、国際展開が始まる見通しだ。だが、このワクチンを巡っては4つの臨床試験で大きく異なる有効性が過去数週間に示され、不透明感が渦巻いている。
シノバックのワクチンにいち早く飛び付いたインドネシアは、同国で行われた試験での有効性は65%だったと明らかにした。ただ、この試験の参加人数はわずか1620人で、有意なデータを集めるには少な過ぎる。
トルコは昨年12月、同国の試験ではシノバックのワクチンは91.25%の有効性を達成したと発表したが、これも同様に参加人数が少なく、十分な結論を得られたとは言いがたい。
シノバックの試験の中では最大で、1万3000人が参加したブラジルでは、有効性を巡る議論が政争の具と化している。同社のブラジル治験パートナー、ブタンタン研究所は先週、同ワクチンが軽度の症状に対して78%、中度から重度の症状では100%抑える効果を発揮したと発表した。
だが今週、ブラジルの試験で示されたシノバックワクチンの「本当の」有効性は50-60%だったと、同国のニュースサイト、UOLが匿名の情報源を引用して報じた。ブタンタン研究所は、これは「推測」だと説明した。
新型コロナワクチンの開発で、異なる有効性のデータが表れるのはシノバックだけでなく、英アストラゼネカもそうだった。ただ、中国の開発メーカーは西側企業に比べて安全性や試験に関する情報の開示が少なく、疑いを高めている。習近平国家主席は中国製ワクチンを世界の公共財として全世界と共有すると約束したが、データの不一致は信頼をさらに失わせかねない。
豪フリンダース大学医学・公衆衛生学教授のニコライ・ペトロフスキー氏は、コロナワクチンの治験では「金銭と威信の面から、結果を大きく誇張して発表するよう途方もない圧力がかかっている」と語った。
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