2021年08月16日11時57分
【ニューデリー時事】アフガニスタン各州の都市を破竹の勢いで陥落させてきた反政府勢力タリバンは15日、政府側の最後の拠点である首都カブール市内に進軍し、大統領宮殿を制圧した。AFP通信などが伝えた。ガニ大統領は国外に脱出し、「タリバンが勝利した」と敗北を認めた。アフガン政府は事実上崩壊した。
アフガン大統領が国外脱出 事実上の政権崩壊―タリバン、首都突入を指示
ロイター通信によると、タリバンの報道官は中東の衛星テレビ局アルジャジーラに対して、戦争の終結を宣言し、「アフガン国内のすべての勢力との対話」や国際社会との平和的な関係の構築を呼び掛けた。日本や欧米など各国は、現地の大使館職員や協力者らの国外退避を急いでいる。
2001年に米軍主導の攻撃でタリバン政権が崩壊し、民主的な政権が誕生してから約20年。イスラム原理主義を掲げ、かつて国民を恐怖支配したタリバンが再びアフガンを統治することが確実となった。今後、イスラム教の厳格な解釈により、女性の権利制限や公開処刑など人権侵害に当たる政策が再導入される懸念が強まっている。
タリバンは今月に入り、バイデン米政権が決定した8月末までの駐留米軍完全撤退に付け入る形で全国の主要都市を驚異的なスピードで制圧。米軍撤退の完了前に権力を掌握する事態となった。
ガニ大統領はフェイスブックに、流血を避けるため出国したと説明。タリバンに向けて「彼らは今や、新たな歴史上の試練に直面している」と語った。英BBC放送によれば、タリバンの進撃に対し政府軍の抵抗はほとんど見られなかった。タリバンは戦闘員をカブール市外で待機させた後、ガニ氏の脱出を受けて、市内への突入を指示したという。
タリバンの進軍に先立ち、米国防総省は、大使館員の退避支援のためカブールに軍を増派すると発表。ロイター通信によると、15日にはヘリコプターで退避が始まった。米国のほか、カナダ、ドイツなども大使館職員の国外退避を進めている。
タリバンは14日、北部バルフ州の州都である要衝マザリシャリフを制圧。政府側は東部ジャララバードも15日に失った。連日の州都陥落により、全34州都の大半がタリバンの手に落ちていた。
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