アフガニスタンの駐留米軍が混乱のなかで撤収を完了し、不安定な情勢が続くイラクが次の焦点に浮上している。バイデン米政権はイラク駐留米軍の戦闘任務を年末までに終了すると言明、中東への軍事的関与を縮小する動きをみせている。米軍の「脅威」が薄れ、イラクで活動するイスラム教シーア派の親イラン民兵組織やスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が勢いづくとの懸念が高まってきた。 アフガンのイスラム原理主義勢力タリバンは8月15日、駐留米軍の撤収期限に合わせるように首都カブールを制圧。エジプトの英字週刊紙アハラム・ウイークリーは26日付で、タリバンに刺激されて中東のイスラム過激派が活動を活発化させることに懸念を示した。 情勢が緊迫するなか、イラクの首都バグダッドで28日に開かれた地域情勢を協議する国際会議には、エジプトやヨルダン、カタールの国家元首が参加。2016年から断交しているサウジアラビアとイランも外相を派遣して注目された。 中東では最近、両国のほかトルコやエジプトの間などで関係改善を模索する動きが相次いでいる。背景にはイランの核問題を中東政策の軸に置き、外交による解決を目指すバイデン米政権の方針がある。米国の中東関与縮小を見据え、各国が域内の治安確保に自発的に動き始めた面もある。 ただ、イランはイラクでの主導権をめぐって米国と攻防を繰り広げており、米軍のイラクでの戦闘任務終了の表明を成果と位置付けている。イランで8月に就任した反米保守強硬派のライシ大統領は米国のアフガン撤収を「軍事的敗北」だと切り捨てており、サウジなど親米アラブとの隔たりが埋まるかは見通せない。 タリバンのアフガン制圧をめぐっては、レバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派などの親イラン民兵組織だけでなく、反イスラエル武装闘争を続けるパレスチナ自治区ガザの原理主義組織ハマスも歓迎するメッセージを出した。タリバンに触発され、中東でテロが相次ぐ事態も否定できない情勢になっている。(カイロ 佐藤貴生)
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