アフガニスタンをめぐる混乱で、北大西洋条約機構(NATO)の欧州諸国には対米不信が広がった。欧州は米国の性急な撤収に反発しながらも、米軍抜きには在留邦人の退避すら続けることができず、無力さを露呈した。「史上最も成功した同盟」と呼ばれたNATOにとり、最大のつまずきとなった。 フランスのマクロン大統領は29日付仏紙で、「今こそ欧州の防衛、独自戦略に取り組まねばならない」と述べ、安全保障の「米国依存」からの脱却を主張した。だが、ドイツのマース外相は独誌で「NATOの欧州側を強くすべきだが、現実には米軍なしに国際的作戦は無理」として、欧州の実力不足を認めた。 NATOのアフガン作戦は2001年の米中枢同時テロ後、集団的自衛権を発動したのが発端だった。1949年の設立以来、自衛権の発動は初めてで、欧州は米軍のアフガン攻撃を支持。NATOは「アフガンをテロの温床にしない」との目的で2003年には、アフガンの国際治安支援部隊(ISAF)の指揮権を国連から引き継いだ。 だが、NATOは米国の圧倒的な軍事力に依存した。米国がアフガンからの撤収を急ぐと欧州は追随せざるを得ず、「NATOの決定は事実上、ワシントンで行われ、ブリュッセル本部では実施するだけ」(マース外相)という不満が出た。 ジョンソン英首相は8月18日、国会で「われわれは厳しい現実に直面した」と発言。最大で13万2千人に上ったアフガン駐留部隊のうち、9万人が米軍だったと説明し、米軍なしに作戦を続けられないと述べた。 NATOは東西冷戦後、バルカン半島やアフガン、リビアなど域外作戦に軸足を置いた。アフガンの失敗を転機として、欧州は今後、域外への軍事介入に慎重になるとの見方が強い。フランスは7月、アフリカで14年以来続けている対テロ作戦の縮小を発表した。 民間シンクタンク「欧州外交評議会」のヤナ・プグリエリン研究員は「欧州は『外国への部隊派遣に意味はあるのか』という問題を突き付けられた。部隊を派遣してアフガン軍を訓練しても、無駄だったと示されたからだ。各国政府は今後、外国への派兵を国民に納得させるのが難しくなる」と指摘する。(パリ 三井美奈)
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