<世界を震え上がらせたあの残忍なISISが戻ってきたのか? 目的は何か?>
8月26日、アフガニスタンの首都カブールの空港付近で2回の爆発があり、米軍の兵士13人とアフガニスタン人少なくとも60人が死亡。米兵18人を含め多数が負傷した。爆発に先立ち複数の国が、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS、自称イスラム国」系の武装勢力によるテロ攻撃の可能性があると警告していた。
米軍の撤退期限を8月31日に控え、アメリカは自国民やアフガニスタン人協力者などの大規模な国外退避作戦を展開している。こうしたなか起きた今回の爆発について、アントニー・ブリンケン米国務長官は記者団に、「ISIS-K(イスラム国ホラサン)による攻撃である可能性が高い」と述べた。
ISIS-Kの「K」は、現在のイラン、アフガニスタンやパキスタンなどの地域を指す「ホラサン(英語読みはコラサン)」に由来する。ISIS-Kは2015年にISISの分派組織として発足し、イラクとシリアのイスラム国幹部の支持を得ている。
同組織はこれまで、米本土に対する攻撃は行っていない。だが米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、2017年1月から2018年にかけて、米軍部隊などと少なくとも250回衝突。アフガニスタンおよびパキスタンの市民に対しても、約100回の攻撃を行っている。
「打倒アメリカ」の野望
ISIS-Kは2020年5月には、カブールにある産院を攻撃したとされている。この攻撃で、新生児や母親を含む24人が死亡した。2018年にアフガニスタンで実施された議会選挙の際、選挙関連施設や警備員が攻撃された事件についても、犯行声明を出している。
国連の報告書はISIS-Kの構成員を数千人規模と推定し、タリバンやその他の武装組織内の不満分子を取り込むことができれば、とりわけ危険な存在になりかねないと警告している。
CSISはISIS-Kの野望について、中央アジアおよび南アジアにイスラム世界の指導者を戴くカリフ制国家を樹立することと、「エルサレムとホワイトハウスに(ISISを象徴する)黒旗を掲げる」ことだと指摘している。イスラエルとアメリカを打ち負かす、という意味だ。彼らはアメリカに対するローンウルフ(一匹狼)型の攻撃も呼びかけてきた。
CNNは、ISIS-Kはアフガニスタンの首都カブールに複数の構成員を擁しており、タリバンとは「不俱戴天の敵」同士だと指摘。米安全保障コンサルティング企業、ソウファン・グループの政策・調査担当ディレクターであるコリン・クラークはCNNに対し、2つの組織は政治、イデオロギーや軍事面で考え方が対立していると述べた。
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