
【シンガポール=森浩】イスラム原理主義勢力タリバンは15日、首都カブール郊外に進攻を始めた。タリバンは同日までにカブール以外の国内主要都市をすべて制圧。首都に圧力を強め、ガニ政権に政権移譲を迫っているもようだ。2001年の米軍進攻を受けて成立したアフガンの民主政権だが、8月末の米軍撤収を待たずして崩壊の危機にひんしている。
アフガンのミルザクワル内務相代行は15日午後、ビデオ声明を発表し、「暫定政府への権力移譲が平和的に行われる」との見通しを示した。政府側が権力の移行に言及したのは初めて。タリバンは01年に政権の座を追われたが、主導する新政権が樹立される可能性がある。
タリバンは主にカブール郊外に戦力を展開させているもようだが、市内の刑務所がタリバンの手で解放されたとの情報もある。タリバンは15日の声明で「力ずくでのカブール入りは望まない」と述べ、政府側と平和的な協議が進行中だとも主張した。声明では構成員には「カブールの門の前にいて、都市に入らないよう指示した」とも主張し、カブール市民に平静を呼びかけた。
タリバンはバイデン政権が駐留米軍の撤収作業を開始した4月下旬から攻勢を強め、今月14日にはかつて反タリバン勢力の拠点だった北部の都市、マザリシャリフを支配下に置いた。別の複数の州都も陥落し、全34州都のうち8割超の28カ所を押さえた。2019年に福岡市の非政府組織(NGO)現地代表の医師、中村哲さん=当時(73)=が殺害された東部ナンガルハル州の州都ジャララバードも陥落した。
タリバンが間近に迫ったことを受け、カブール市内では混乱が広がっており、現金を引き出そうと銀行に長蛇の列ができた。乗用車に家財道具を積んで脱出を試みる住民も相次ぎ、混乱が深まっている。
カブールでは政府職員や各国外交官らの退避の動きも進んだ。米大使館の屋上付近からは煙が立ち上るのが見られた。大使館員が機密文書を焼却した煙とみられている。
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