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タリバン政権のテロ復活抑止に関する米中攻防――中露が「テロを許さない」と威嚇する皮肉 - Newsweekjapan

タリバン政権誕生に際して世界が最も心配するのはテロ活動の復活だ。しかし中露が連携してタリバンにテロ活動を許さないと威嚇している。特に中国はウイグル弾圧の口実として「反テロ対策」を強調してきた。それに対してアメリカ(ポンペオ前国務長官)は「テロ組織は既に存在しないことを確認している」として中国のウイグル弾圧を非難してきた。だから中国は何が何でも「テロ活動は許さない」とタリバンに対して叫び続けているのである。「反テロ対策」に関する米中攻防とタリバンとの関係に注目して考察する。

8月9日の中露「反テロ」軍事演習

8月15日のコラム<タリバンが米中の力関係を逆転させる>で書いたように、タリバンのスハイル・シャヒーン報道官は7月9日に以下のように述べている

●以前アフガニスタンに避難していた中国のウイグル人分離独立派戦闘員の入国を、タリバンは今後許さない。

●タリバンは、アルカイーダやその他のテロリストグループが現地で活動することも阻止し、アメリカやその同盟国、あるいは「世界の他の国」に対する攻撃を行うことを許さない。

「テロ活動を行わないこと」を何度も確認したい中国は、7月28日の天津における王毅外相とタリバン代表団との会談で、さらに以下のように念押ししている。

王毅曰(いわ)く:

――タリバンは、東トルキスタン・イスラム運動など全てのテロ組織との線引きを明確にして徹底させ、断固として戦い、地域の安全と安定および開発協力の障害を取り除き、積極的な役割を果たし、有利な条件を作り出すことを期待している。

これに対してタリバン側は「アフガニスタンの領土を使って中国に不利なことをする勢力を絶対に許さない」と約束した。

だというのに、それでもなお、8月9日になって、中国はロシアと連携して「反テロ対策」を目的とした軍事演習を行ったと新華網が伝えた

これは何を意味しているかというと、「タリバン政権が誕生した後に、万一にもテロ活動の復活をしようものなら、中露両軍が結束してタリバンをやっつけるから、そのつもりでいろ」ということを、まもなく誕生するであろうタリバン政権に対して威嚇しているということなのである。

8月16日、中露外相電話会談で警告

それでも足りずに、8月16日、中国の王毅外相はロシアのラブロフ外相と電話会談をしテロ問題を話し合った

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